戦後79年、今、立ち止まるとき
東京・生活者ネットワーク代表委員/前都議会議員 山内玲子
戦後79年、8月15日の新聞各紙の1面は「岸田首相退陣へ」だった。「岸田首相退陣」が戦争の記憶と責任を捉え直す大事な一日を覆い隠したように思え、何とも言えず嫌な気持ちになった。岸田という人は、結局、その任の最後まで、国民に大事なことから目を逸らし、ウヤムヤにし、一方的に物事を決める人、ということか。
2021年10月、内閣発足以降、原発の再稼働推進・新増設を表明、安倍元首相の「国葬儀」を行い、旧統一教会と自民党議員の癒着問題をウヤムヤにし、改正政治資金規正法も骨抜きにした。
言語道断なのが、安全保障政策の大転換だ。戦後憲法の平和主義のもとで安保関連3文書を改定し、敵基地攻撃能力の保有を決定。防衛費を2023~27年度の5年間で現行計画の1.5倍以上の約43兆円に増やすと決め、2027年度には対GDP比2%にするとした。現に今年度の防衛費予算は過去最高の7兆9496億円で前年度より1兆1277億円も増えている。まさに、日本を戦争のできる国にしようとしている。
終戦間際、軍は若者の肉体そのものを「兵器」とする「神風特攻隊」や「人間魚雷回天」戦術を取った。人権を無視し命を命とも思わず、若者を、生還を許さない「兵器」として扱ったのだ。戦争は人間を狂わせる。
防衛費の増大には断固反対する。