国・警察による在沖縄米兵の性暴力事件隠ぺいに強く抗議する! 全ての性暴力、そして沖縄への構造的差別にNOを!
2024年7月18日
東京・生活者ネットワーク
沖縄では、米兵による地元女性への性暴力事件が後を絶たない。昨年12月24日には、16歳未満の少女が米空軍兵により誘拐され性暴力を受ける事件が起きた。しかし、それが報じられたのは今年の6月25日。沖縄県民は、半年もの間、その事実を知らされていなかった。
外務省は、那覇地検が事件を起訴した3月27日にはエマニュエル駐日米大使に抗議していたにもかかわらず、捜査にあたり事件を知っていた沖縄県警と共に、県政を司る玉城デニー沖縄県知事に情報共有していなかった。
外務省と県警はその理由を「プライバシーの保護と捜査への影響」と説明しているが、日米合同委員会合意(1997年3月)では、外務省が米側から在日米軍が関係する重大な事件・事故の情報を受けた場合、防衛省に通報し、同省から県や関係自治体に伝える等が定められている。
この通報手続きが形骸化していただけでなく、「魂の殺人」とも言われる性犯罪を軽視する重大な人権侵害であり、生活者ネットワークとして強く抗議する。
性犯罪の公表において「プライバシーの保護」は当然のことはあるが、配慮したうえでの情報共有は可能であり、沖縄県民が知らされなくていい理由とはならない。
県警は、「犯罪統計は公表しているのだから、県から問い合わせがあれば説明する」としているが、これは言い訳にしかならない。県警元幹部は報道取材に対し、「以前は速やかに県庁に情報共有していたが、政治運動に利用されることへの懸念があることから、しなくなった」旨語っている。6月には県議会議員選挙や沖縄慰霊の日の式典での総理訪問という大きな行事があり、外務省、県警がそのために、情報を伝えないという恣意的な判断をしたと受け止めざるを得ない。だとすれば、民主主義の根幹を揺るがす異常事態である。
さらに昨年から今年にかけて、この他に5件もの米兵による女性への性暴力事件が県に報告されていなかったことも報じられている。
外務省は、今後は速やかに沖縄県と情報共有を行うとしているが、国が本来なすべき仕事は国民を守ることであり、「いかなる暴力も絶対に許さない」という姿勢を示すために、政府が警察を含めた自治体とともに協力するのは当然のことである。国はこのことを重く受け止め、情報共有の手続きを徹底させるとともに、これ以上、沖縄県民の尊厳が踏みにじられることのないよう、著しく不平等な日米地位協定の抜本的見直しに取り組むことを、強く求める。
最後に、性暴力を「プライバシーの保護」という言葉で覆いつくし事実を隠蔽しようとする姿勢の根底には、被害者の人権軽視があると考える。その姿勢は、被害者に落ち度があるかのような印象をもたせ、誹謗中傷で被害者を更に追い詰める深刻な二次被害に追い込んでいく。こうした社会の反応や意識を変えていくためにも、今回の事態を断じて許してはならない。
生活者ネットワークは、毎月都内各地で「女性への暴力をなくす!」としてフラワー遊説を行いながら、これからも力をあわせ、性暴力をなくしていくために声をあげていく。
※在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続き