3.11東日本大震災/東電福島原発事故から11年 被災者にとっての復興はなにか、が問われている
2022年3月11日
東京・生活者ネットワーク
2011年3月11日に発生した東日本大震災から11年が経ちました。地震と津波、続く東京電力福島第一原子力発電所の事故により直接・間接に命を奪われたすべての方にあらためて追悼の意を示します。
いまなお3万8139人が県内外で暮らさざるをえない実態を、私たちは決して忘れてはなりません。故郷を追われた被災者にとっては、3月11日を迎えてなお未曽有の大震災は終わってはいず、私たちは、これまでのすべての事ごとを教訓にしていかなければならないと考えます。
新型コロナ感染症の流行でさまざまなイベントが中止になるなか、昨年の夏「復興五輪」と称された東京オリンピックが、1年の延期を経て開催されました。当初からオリンピックによる復興アピールという政権の思惑自体に批判の声があがるなか、被災地の状況を顧みず、五輪開催に焦点をあてて復興整備に名を借りた公共事業を拡大してきたことには、強い怒りを感じます。特に、避難住民の帰還を促し原発事故後の放射能汚染の問題を、あたかもないことにしようとした安倍政権の姿勢・情報操作を、生活者ネットワークは決して許すことはできません。
この11年の間、被災地では生活再建のための復興整備はもちろんのこと、かけがえのない人を亡くした人たちのグリーフケアや、子どもたちの居場所づくりや学習支援、復興住宅での交流活動やしごとづくり、震災の記録作成や語り部、福島の子ども保養キャンプなど、被災当事者を含む活動がおおぜいの市民の手で紡がれてきました。復興の到達点は当事者目線で決めることであり、政権が一方的に宣言するものでは決してありません。
また、福島原発事故を引き起こした当事国としてとるべき、再生可能エネルギー政策への取り組みは積極的とはいえず、汚染水処理や核のごみについても問題の先送りを繰り返しており、原発事故被災者の終わりのない苦悩の経験を無視するものです。
そればかりか、ロシアのウクライナ侵攻を受け、自民党内では安倍晋三元首相ら保守派を中心に、非核三原則の見直しや米国との核共有の検討を求める声が上がる状況には強い危惧と怒りを覚えます。岸田首相は、ロシアのチェルノブイリ原発に対する攻撃を、原発事故を経験した国として非難し、核共有についても広島・長崎を持ち出し考えていないとしていますが、日本は、原爆と原発事故の両方を経験した国として、核がさまざまな方向から安全保障にはつながらないことを世界に発信する役割をこそ果たすべきと考えます。
生活者ネットワークは、多くの命が失われたこの日、困難を救うのは、対話による共生社会の実現のみであることを再確認し、地域から活動を続けていきます。