「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟 仙台高裁二審も勝訴!

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟が新たな局面を迎えた。9月30日、仙台高裁において二審判決が言い渡され、国と東電の責任を認め、一審判決からさらに被害救済される対象を広げ、被害救済に向け前進する判決となった。

 

福島民報2020/10/01
国の責任、二審も認める 生業訴訟仙台高裁判決 賠償の対象拡大https://www.minpo.jp/news/detail/2020100179526

 

この裁判は、東京電力福島第一原発事故当時に福島、宮城、茨城、栃木の4県に居住し、暮らしを営んでいた原発事故被災者:約3830人が、国と東電に慰謝料や居住地の放射能低減を求めて、2013年に提訴したもの。原発事故で仕事や住まい、家庭生活、地域とのつながりを奪われた理不尽と怒りを込め、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」のスローガンを掲げ、国や東電の責任を問うてきたものだ。

2017年10月10日、福島地裁の一審判決では、国と東電の法的責任を明確に認め、茨城県の一部地域の原告にも賠償を認め、「自主的避難等対象区域」等の原告について賠償金の上積みを認める内容であった。しかし、全体救済をめざして、さらに高いレベルの判決を勝ち取るため、原告団が自ら控訴。国と東電も控訴して、仙台高裁で控訴審がたたかわれてきた。

9月30日の仙台高裁の判決では、一審に続き国と東電の責任を認め、原告3550人に計約10億1000万円を支払うよう命じた。これは、約2900人に計約5億円を命じた一審判決から、賠償総額を約二倍に上積みし、救済範囲も拡大した判決である。

判決を受けて、原告と弁護団は、首相官邸や東電本社を訪れ、上告せず、早期救済に向けて舵を切るよう求めた。しかし、10月13日、国と東電が、仙台高裁判決を不服として最高裁に上告。それを受けて原告も同日上告した。

原発事故をめぐる国の責任を追及した集団訴訟:「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟は、全国民が注目するなか、最高裁が判断を示すことになる。生業訴訟原告団・弁護団は、「最高裁で改めて国に責任があるということを明確にし、国が法的な義務として救済を行わなければならないことを確定させるべく、引き続き全力で取り組んでいきます」と表明している。

東京・生活者ネットワークは、2016年8月、原発事故被災地を訪ね被害実態などを聴くために、福島県と岩手県へのスタディツアーを行った。この折り、福島県二本松市の農家民宿で、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団事務局長の服部浩幸さんのお話を聴く機会を得た。その後、原告団からのよびかけに応え、東京・生活者ネットワークとして、福島地裁の裁判官にあてた「公正な判決を求める署名」活動に全面的に賛同・協力。ネット設立以来一貫して、反核・原発ゼロ政策を掲げエネルギー自立都市・東京をめざしてきたものの、未曽有の過酷事故を防ぐことができなかった、その悔恨を込めて、要請行動に参加した経緯がある。

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団事務局長の服部治幸さん。2016年8月

 

東京・生活者ネットワーク福島・岩手スタディツアーで、「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団事務局長の服部治幸さんのお話を聴く。左は、福島県有機農業ネットワークの菅野正寿さん。2016年8月、福島県二本松市の農家民宿「遊雲の里」ふくしま・東和で

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