セクハラ・DV・性暴力のない地域社会を!――女性の安全安心調査プロジェクト結果発表
ここ数年の間に、官僚や首長、議員など公人によるセクシュアル・ハラスメントや、フラワーデモに象徴される性暴力の問題、そして新型コロナ感染症対策による外出自粛で増加しているドメスティック・バイオレンスなど、女性への暴力は後を絶ちません。
東京・生活者ネットワークは、各地域での議会質問や地域活動を通して女性への暴力根絶を訴えてきましたが、昨2019年、新たに「女性が暮らしやすいまち~女性の安全安心調査プロジェクト」を立ち上げました。制度についての学習会や当事者・支援者へのヒヤリング、専門機関の視察などを実施のうえ質問を作成し、2020年2月から自治体調査を実施。足かけ1年の活動を経て、6月11日に調査結果を記者発表(都庁記者クラブ)しました。
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自治体施策について48自治体に調査 1位は日野市
この調査は、都内49市区にセクシュアル・ハラスメント10問、ドメスティック・バイオレンス10問、性暴力9問、3テーマを通した設問が3問の全32問のアンケート(*1)を依頼し、23区と25市が回答してくれたものです。東京都については行っている事業が区市と異なるため対象とはしませんでした。依頼はプロジェクト・メンバーとなった都内の生活者ネットワーク議員が中心となり、男女平等参画担当者に説明して実施するという形をとりました。
点数は、生活者ネットワークとしてここまでの施策をしてほしいという理想を100点として配点。いずれも男女共同参画社会基本法や男女平等推進条例に基づく計画、雇用機会均等法での事業者としての対策(セクハラ)に位置付けて実施できる事柄です。
調査点数の結果としては最高の日野市で54点、平均で33.92点という結果となりました。(*2)これは、自治体施策として義務化されていない部分でのセクハラ対策、DV被害者支援、性暴力被害者支援施策の必要性への認識が低いことによるものと思われます。(*3)
もちろん、各自治体での、それぞれの担当者や防止・相談・支援事業を担う専門家や民間団体は非常に努力し、低い予算の中で苦労しながらミッションを果たしていることを、生活者ネットワークとして理解しています。だからこそ、施策を後押しし状況を改善していきたいのです。
性教育・DV防止教育の充実、性暴力救援、女性自立支援法制定など政策提案も
記者会見では、まずプロジェクト・リーダーのじつかわ圭子(東大和・生活者ネットワーク市議会議員)から、こうした調査の内容全般について報告。各チームリーダー(セクハラ防止チームリーダー:伊藤ひとみ江戸川区議会議員、DV防止チームリーダー:須藤延恵練馬・生活者ネットワーク、性暴力防止チームリーダー:田中みち子世田谷区議会議員は議会のため記者会見は欠席)と、アドバイザーからのコメントがありました。
都政担当政策委員のドゥマンジュ恭子(調布・生活者ネットワーク)は、広域行政を担う東京都の役割の重要性や、犯罪被害者等支援計画に基づく性暴力救援センターの増設、警察での女性警官対応の拡充など、東京都に求めていく政策を訴えました。
また、性教育やDV予防教育など子どもや若者が学ぶ機会について、生活者ネットワークはかねてから充実を求めていましたが、全中学校での実施は数自治体にとどまっています。
女性への暴力根絶のためには、声を出せないでいる女性の思いを政治が代弁し、政策実現をしていかなければなりません。自治体での優先施策の考え方や予算配分などを変えていくために、この調査を単なる点数化のランキングに終わらせず、有効に使ってさらなる提案につなげていきます。(*4)
資料
※報告書(全40ページ)をご希望の方はお問い合わせください。問合せ先:tokyo@seikatsusha.net tel:03-3200-9189
*1 東京・生活者ネットワーク安全安心調査アンケート
*2 ランキング表1
ランキング表2
*3 女性の安全安心調査結果 概要版
*4 調査からの政策提案集