羽田国際線81%減! 新型コロナ感染拡大による需要減・それでも止まない! 都心低空新ルート継続の愚!

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大にともない、政府は4月7日不要不急の外出自粛を要請する緊急事態を、ここ東京都を含む7都府県を対象に「宣言」した。

こうしたなか、遡る3日国土交通省は、過密都市東京の都心上空を航空機が通過する羽田空港新飛行ルートの運用を開始した。国交省はこれまで、航空機は「海から入って海に出るルート=都心上空を避け東京湾上空から着陸するルート」しか認めてこなかったが、新ルートでは着陸回数を増やせるメリットがあるとし、運用に踏み切ったかかたちだ。夏ダイヤに移行する3月29日をもって新ルート開始としていたが、4月2日までは雪交じりの悪天候が続き、運用可能条件である南風が吹かなかったことから、3日からの運用となった。

新ルート計画導入にかかる国交省の言い分は、東京オリンピックを見据え訪日外国人を集客するための国際線の増便であった。しかし現状では、新型コロナウイルスの世界規模での感染爆発により、オリンピックは延期、もはや1年後の見通しも立たない状況にあり、オリンピック目当ての観光客は皆無。新型コロナ感染拡大を封じるための対応として政府は、入国拒否対象国を73カ国へと大幅に拡大、羽田空港国際線の欠航率は81%に至っている。

3月29日より羽田新飛行ルートの運用を計画する国土交通省が実施した「実機試験飛行」。JR大井町駅ペデストリアンデッキから巨大な機体を目視。DELTA航空はこの1機以降、安全運航に課題が残るとし試験飛行への協力参入を取りやめた。2020年2月3日。写真提供Ⓒ羽田問題解決プロジェクト

騒音や、とくに落下物による被害を懸念する航路下住民らが、「現時点で新ルートを実施する必要は皆無」「実機飛行後の結果分析や情報開示も不十分なまま、住民との協議も封殺したままの運用は、行政が自ら民主主義の破壊行為に手を染めたということでよいのか?」と、見合わせと住民との冷静な協議を求めるなかでの、本格導入だ。国交省はいまこそ立ち止まり、新ルート運用を一旦見直すときではないか。

東京・生活者ネットワーク「羽田空港機能強化問題プロジェクト」 航路下の24の市民団体と連携、国土交通省に緊急提言!

東京・生活者ネットワークでは、羽田新飛行ルート計画案が浮上した当初から計画撤回に向けて国交省への申し入れをたびたび行ってきたが、運用開始が目前に迫る3月12日にも国土交通大臣に宛て、計画の問題性を問い中止を求める要請及び記者会見を市民団体と連携して行った。この要請には、都心低空飛行ルートの白紙撤回や計画の見直しを求めて活動してきた航路下の住民でつくる24もの市民団体が賛同しており、民意のどこにあるかを示している。

要望書では、国交省のリスク対策は不十分であり安全性に懸念があることを指摘。一旦立ち止まり、新ルート運用の強行を見合わせるよう求めている。住民による落下物や墜落事故への不安の声だけでなく、世界中の専門家集団(IFALPA=国際定期航空操縦士協会連合会)(IATA=国際航空運送協会:主要な国際民間航空の業界団体)が、こぞって航空機着陸時の3.45度降下角問題に関する懸念を表明し、「新ルート運用で羽田空港は、世界で最も危険な空港になる」と指摘していること、さらに赤羽国交大臣自らが国内のJAL、ANAのパイロットとの会談で、安全な進入のための方式要請を受けたという事実も、根拠として示したところだ。
IFALPA:The Global Voice of Pilots https://www.ifalpa.org/about-us/
IATA:International Air Transport Association  https://www.iata.org/

人口密集地上空を航行する新ルートでは、航空機事故による大参事リスクを見据えていると到底言えず、住民にリスクを押し付ける強行は止めなければならない。落下物対策は充分行っているとするが、導入直前の3月28日、成田空港を離陸した全日空機が胴体パネルの一部を落下させる事故が現実に起っている。今回の事故が新ルートによる羽田空港離陸直後であったと仮定すれば、まさに川崎コンビナート上空。大参事は免れず、もはや「想定外」は許されない。改めて航路下の住民の声に真摯に耳を傾け、専門家を交えて冷静に安心・安全を大前提に置く航空政策を導きだす場を設置すべきである。

品川発!「羽田新飛行ルートの賛否を問う住民投票」を求める直接請求法廷署名は、新型コロナ対策で先送りするも、すでに1200人を超える「受任者」がエントリー!

新型コロナ感染拡大の影響で、品川区で進めてきた「羽田新飛行ルートの賛否を問う住民投票」を求める「直接請求法廷署名」は、先送りせざるを得ない局面にある。直接請求運動が可能とする「戸別訪問」もできない、施設使用制限により「市民集会」も開けないこの時期だが、品川では、直接請求運動を支える区民らが諦めることなく「受任者募集」を継続しており、現在1200人を超える受任者が集まっている。

とくに2月の試験飛行以来、関心を持つ人が急速に増えており、「想像以上に大きな機体に恐怖した」「機体を目の当たりにして落下物事故への不安が募る」「1時間に44便も飛んできたらうるさくて我慢できない」などの声が。国が決めたことであっても、異議があれば主権者・市民が声を上げていく。品川から都心ルート白紙撤回の道筋を開くために、住民の自治権を行使する住民投票の実現に向けている当事者や品川・生活者ネットワークの動きに呼応し、東京・生活者ネットワーク「23区エリア会議:羽田空港機能強化問題プロジェクト」もまた、協力体制で臨む。

さらに、直近の首都圏市民の動きとして、あらたな要望書に賛同する団体が、国交大臣に宛て「羽田空港増便にともなう都心低空飛行の中止」を求める署名活動に連帯して取り組んでおり、東京都下に留まらない、川崎市や、さいたま市など広範な地域住民が声を上げている。経済効果を最優先し自然破壊や環境悪化を顧みない社会構造が、今日の新型コロナウイルスもまた誘発したとはいえないだろうか。私たちは今こそ、政治・経済産業構造を根本から見直し、新たな地平に向かうときではないか。命を二の次に経済発展を優先する航空政策を、もはや看過することはできない。

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