第17回 東日本大震災子ども支援意見交換会 開催! -震災から丸7年、子どもたちと考える継続的な支援―
2018年3月11日で、東日本大震災から丸7年となる、3月8日、標記の意見交換会が、東日本大震災子ども支援ネットワーク(事務局長・東洋大学 森田明美さん)の主催で開催されました(衆議院第1議員会館:永田町)。この間、私たち東京・生活者ネットワークも、未曾有の大震災発災を受けて立ち上がった東日本大震災子ども支援ネットワークの構成団体に連なる立場から(子どもの権利条例東京市民フォーラム事務局)、被災地の子ども支援について継続して、ともに提案を進めてきました。
第17回目となるこの日のテーマは、「震災から丸7年、子どもたちと考える継続的な支援」。被災地から参加した子ども・若者を囲んで、市民・NGO/NPO、超党派国会議員、関係各省庁(内閣府、厚労省、文科省、復興庁)職員らが、被災子どもの現状とこれからの課題、子ども参加で進める復興まちづくりなどについて意見交換が行われました。
南三陸町(宮城県)等で被災し、今は成人した若者・大学生らによる活動「Project”M”」は、若者が企画・運営する「被災地スタディーツアー」です。大震災の風化に抗い災害への備え、復興まちづくりの現状を広く若者・市民に伝える活動です。被災地での学習支援の場・山田町ゾンタハウス(岩手県)からは、高校生たちの活動として、ゾンタハウスをパブリック・スペースとして活用し、高齢者や地域住民に居場所と軽食を提供する「Z00 café」の活動が。また、郡山市、南相馬市(福島県)からは、被災地で成人した若者らが中心となって進めるひとり親家庭支援や移動ランチカー・サービスの運行による地域支援活動が発表・紹介。さらに、8年目の子ども支援に求められ
る視点と課題を論点に、被災県の沿岸のほぼすべての小学校で、4割を越える子どもたちの間に、「落ち着かない」「不安・注意欠陥傾向がある」などの調査結果が報告され、これからこそきめ細かな子ども支援が必要であること、かつ20年間を目途に被災地での子ども・若者支援の継続が必要であることなどが共有されました。そのための活動拠点として、「仙台市子ども・若者支援センター」(代表・宮城学院女子大学 足立智昭さん)が新たに立ち上がり、東日本大震災子ども支援ネットワークもバックアップ体制で臨むことも報告されました。
最後に、参加者・関係者らは、この未曾有の経験を次代に引き継ぎ、被災時の子ども支援、子どもの権利保障に生かすための『3.11東日本大震災を忘れない 被災地の子ども白書』編纂の必要性を共有し、散会となりました。
〈プレスリリース〉
東日本大震災から8年目、子どもたちに寄り添う支援継続の必要性
2018年3月11日
東日本大震災子ども支援ネットワーク
2018年3月11日、東日本大震災から7年が経過し、8年目となります。2017年は、2016年4月の熊本・大分地震から2年が経過し、7月上旬には、福岡県と大分県を中心とする九州北部豪雨が子どもを含めた死亡・行方不明者40名以上という甚大な被害をもたらしました。災害の影響を受ける子どもたちの数は減ることがありません。
<復興「格差」の拡大>
東日本大震災の被災地では、7年を経て、高台移転による造成宅地や災害公営住宅の整備などハード面での復興がようやく進んでいるなか、心の復興は簡単には進まない状況です。
様々な悲しみや困難を抱えながらも、周りの支援を受けながら回復していく子どもたちやおとなたちがいる一方で、今も心の傷が癒されない子どもたちやおとなたちもおり、心の回復における差が拡大しています。福島原発事故による被害からの復興は展望が見えないままです。発災から時間を経るなかで、震災直後とは異なった、子どもたちや家庭の新たな問題も顕在化してきています。震災当時幼かった子どもたちが、思春期をむかえ不安定になったり、親になっても、子育てに不安を感じたり、震災後に生まれた子どもたちが、震災を経験した親たちの心の傷が癒えないなかでの子育てに影響を受けているなどの報告があり、こうした問題は、今後も増えていくと思われます。
東日本大震災から7年を経てもなお、70,000人以上の人たちが住み慣れた家や地域を離れて避難生活を余儀なくされています。福島県では、18歳未満の18,000人の子どもたちが避難生活です。避難や仮設住宅への入居、転居など、地域コミュニティが分断される状況のなかで、震災前の地域の支え合い関係にも変化が生じ、生活困窮や貧困の問題が顕在化している地域もあります。
子どもたちが家庭の様々な状況に影響を受け、安心した生活をおくれない状況があります。他方で、意味あるおとなたちと出会うことによって、次に向かってチャレンジしている子ども・若者たちがいます。
<20年間の継続的支援の必要性>
私たち東日本大震災子ども支援ネットワークは、2011年5月の発足以来、国連「子どもの権利条約」の趣旨や規定をふまえた被災地での子ども支援のあり方を提起する活動をおこなっています。震災から8年目も、子どもたちや子どもに関わるおとなたちの発言を丁寧に聴き取り、継続的な対話を続け、子どもの最善の利益の具体化を実現するための活動を継続していきます。
阪神・淡路大震災の際にも、行政による子どもたちの心の支援は、15年間継続され、震災後20年間の支援の必要性が語られました。私たちは、東日本大震災の支援事業においても、震災から20年をひとくくりとして、子どもたちに寄り添う支援を継続するべきだと考えています。そのためにも、継続的に支援をおこなう場所の設置および支援者の育成を市民社会との協力によって、国や自治体が責任を持ってすすめることが必要です。
<8年目を迎えてとくに必要な支援>
これまで、私たちは、震災1年目から7回のメッセージを発信してきました(http://shinsai-kodomoshien.net/?cat=53)。これらのメッセージの中で提起された、災害子ども支援活動に求められる視点や「子どもの暮らし復興」に向けた提案は、東日本大震災後8年目の今も必要とされています。そのうえで、長期的な支援を展望しつつ、とくに以下の点が重要であると考えます。① 長期的に子どもたちが集い活動し支援を継続できる拠点づくりとそれを支える人材の養成② 被災地から全国に避難している子どもや家庭に対する支援③ 被災時やその後の子どもたちの状況および支援の取り組みなどを明らかにする『震災子ども白書』(仮称)の作成④ 子どもたちの参加による震災を語り継ぐ方法の開発や教材など取り組み――わたしたちは、今後とも行政や様々なNPO/団体などとのネットワークを保ちながら、発信と連携を強めていきます。