2017都議選 Chance! Change Tokyo [提言]柏崎刈羽原発を動かしてはいけない!再稼働問題=東京問題であるーー田中三彦(サイエンスライター/東京電力福島原発事故調査委員会委員)
2017都議選 Chance! Change Tokyo
[提言]柏崎刈羽原発を動かしてはいけない!再稼働問題=東京問題であるーー田中三彦(サイエンスライター/東京電力福島原発事故調査委員会委員)
日本の人口のおよそ10%が集中して働き、学び、暮らすまち東京、その人の数だけ問題も山積みになっている。都市部に集中する待機児童問題、2020年を境に急速に進む少子超高齢化問題、医療・介護サービスの必要度が高まる一方で不足する介護職員や医師の数、未だ明らかにされない大会運営費用・負の遺産となりかねない施設整備費など東京五輪問題、防災対策の遅れもまた首都東京が抱える大問題だ。2017東京都議会議員選挙も後半戦を迎えたこの日、元福島原子力発電所国会事故調査委員会委員でサイエンスライターの田中三彦さんから生活者ネットワークの2017重点政策『原発ゼロ/東京をエネルギー自立都市に 自然エネルギー推進条例を制定する』を補完するに余りある貴重な提言をいただいた。
柏崎刈羽原発を動かしてはいけない!再稼働問題=東京問題である
5月17日、関西電力の高浜原発4号機が再稼働した。たぶん6月には同3号機も動き出していると思われる。福島原発事故から6年と少しが経過したいま動いている日本の原発は、ほかに九州電力川内原発1、2号機、四国電力伊方原発3号機と、数はまだ少ない。が、注意しておかねばなならないことがある。日本の商用原発には「沸騰水型原発」と「加圧水型原発」の2つの型があるが、事故を起こした福島原発が沸騰水型であるのに対して、現在稼働中の原発はどれも加圧水型であることだ。加圧水型は沸騰水型より安全、という人もいるが、そんな単純な定説はない。まずは福島から遠いところから、福島原発とは異なる型の原発から、という暗黙の原発再稼働国家戦略があったにちがいない。そして今後もしばらくは、関西や九州の加圧水型原発の再稼働が繰り返されるはずだ。
一方、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機に対する原子力規制委員会の「適合性審査」も、最終段階へと進みつつある。東京電力は当然その再稼働に社運をかけているわけだが、この問題、じつは東京都民にとってもけっして他人事ではない。事業主が東京電力であることや原発が沸騰水型であることも重要な論点ではあるが、都民がとくに考えるべきは、なぜ東京電力の原発が新潟県にあるのか、だ。福島原発の場合もそうだったが、じつは柏崎刈羽原発で産み出される電気が新潟県で消費されることはなく、すべてが東京電力管内(関東7都県+山梨県+静岡県の一部)に送られ、とりわけ東京で大量消費される。
原発があるかぎりいずれ大事故は起きる。原発は事故を起こすまで安全、ということでしかない。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、かつて、あっけらかんと、「基準の適合性は見ていますけれども安全だっていうことは、私は申し上げません」、そう言い放った。
いま、柏崎市や刈羽村の人々が、そして多くの新潟県民が、近い将来現実化するかもしれない「柏崎刈羽原発再稼働」に日ごとに不安を募らせている。実際、昨年10月、新潟県民は再稼働に慎重な新人候補を新知事に選んだ。しかし、産み出される電気の大半を享受する東京都民のいったいどれだけが、再稼働問題を自分たち自身が深く関わる問題として捉えているだろうか。
エネルギーも「地産地消」が基本であり、30数年前、同士広瀬隆は「東京に原発を」と逆説的名言を吐いたが、いまの東京はその基本から一番遠いところにあるようにみえる。