LGBTの人権を保障する 多様性を認めあう東京へ-第18回市民と行政の協議会を開催!

LGBTの人権を保障する 多様性を認めあう東京へ-第18回市民と行政の協議会を開催!

 

◆LGBT(性的指向及び性自認)に関する、東京都における課題解決のために

セクシャルマイノリティ「LGBT(注)」は、ここ数年、国内でも話題に上るようになってきた。2012年に国連がLGBTを理由とした差別や暴力を禁止、14年にはオリンピック憲章にも盛り込まれた。日本でも、同性カップル証明の発行を渋谷区・世田谷区・宝塚市などが、多摩市・文京区が差別禁止に関する条例を制定、ようやく解決すべき人権問題として一歩踏み出した。一方、東京都の対応はどうか? 「東京都における性的指向および性自認に関する課題解決のために」と題した、第18回目となる「市民と行政の協議会」では、当事者・支援団体からの報告と質問・提案、都関係部局が施策の現状と対策を含めて応答する形で進められた(総合司会:山内れい子都議[国立市・国分寺市])。1月27日。

◆LGBT当事者の自死念慮7割 学校の理解、支援が不可欠

30人に一人とも、13人に一人とも(2015年NHK調査による)言われるLGBT。誤解や偏見のなかで、自分の本来のあり方を話せないストレス、やっとの思いで打ち明けてもそのために受ける不利益や差別的助言などの狭間で、多くの人が一人で悩んでいる。LGBTは病気でも育て方でもない。ありのままの性の多様性を認め、見えない存在に配慮し、理解を深めることが重要だ。

LGBTをテーマに、議会棟会議室にて開催された、18回目となる「市民と行政の協議会」。議員のコーディネートにより市民と行政が同じテーブルにつき、都政にまつわるさまざまな政策課題の解決にむけて建設的に議論する場「市民と行政の協議会」は、東京・生活者ネットワークの発案により、1993年にスタートした。年1~2回のペースで開かれる協議会は、各回ごとに市民主体の実行委員会によって運営され、事前準備では、テーマに係る現状認識や獲得目標を共有、市民・団体間の連携が深まる機会ともなっている。一方、議員はコーディネーターとして位置づけており、関係部局との調整や市民への情報提供、他会派の議員への参加呼びかけなどサポート役に徹するが、終了後は協議内容を議会活動にフィードバックすることは言うまでもない。現場からの情報と政策を示しながら行政と本気で議論し、解決策を探ろうとする市民らを目の辺りにするこの協議会は、行政の中でも確実に定着しつつある。2016年1月27日、都庁議会棟会議室

LGBTをテーマに、議会棟会議室にて開催された、18回目となる「市民と行政の協議会」。議員のコーディネートにより市民と行政が同じテーブルにつき、都政にまつわるさまざまな政策課題の解決にむけて建設的に議論する場「市民と行政の協議会」は、東京・生活者ネットワークの発案により、1993年にスタートした。年1~2回のペースで開かれる協議会は、各回ごとに市民主体の実行委員会によって運営され、事前準備では、テーマに係る現状認識や獲得目標を共有、市民・団体間の連携が深まる機会ともなっている。一方、議員はコーディネーターとして位置づけており、関係部局との調整や市民への情報提供、他会派の議員への参加呼びかけなどサポート役に徹するが、終了後は協議内容を議会活動にフィードバックすることは言うまでもない。現場からの情報と政策を示しながら行政と本気で議論し、解決策を探ろうとする市民らを目の辺りにするこの協議会は、行政の中でも確実に定着しつつある。2016年1月27日、都庁議会棟会議室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LGBTの約7割が自死念慮を抱くという。しかもそのピークは二次性徴期(小学校高学年~中高生)という衝撃的な調査結果がある。多様性が理解されず、学校でいじめや暴力を受け不登校になった事例も約3割ある。

LGBT当事者からは、LGBTの子どもが教師や保護者の無理解のために孤立し苦しんでいる現状が報告され、学校での対応について質問。教育庁は、生徒からLGBTの相談を受けた際の対応マニュアルはないが、文部科学省の通知を踏まえ配慮していると回答(通知には、自認する性の制服や体操着の着用を認める、多目的トイレの使用を認めるなど具体的な配慮が紹介されている)。都は昨年、東京都人権施策推進指針で「性同一性障がい」「性的指向」を人権課題としたものの、人権教育にこれを明記してはいない。当事者側は、教師など学校関係者への研修、「人権教育プログラム」にLGBTの理解と差別の禁止を盛り込むよう強く求めた。

◆LGBT相談、DV相談―適切な助言・支援体制を

LGBTを理由に困難を抱える人のなかには、精神疾患を患い、貧困に陥るケースも多くある。当事者から、精神福祉保健に携わる職員研修について質問があり、福祉保健局は理解促進のための職員研修を行っていると回答。また、地域自殺対策強化事業で、LGBTに関する研修や講演会などを行う自治体や民間団体を補助していると答えた。

当事者側からは、電話やメールの相談窓口でLGBTや同性間のDVについて適切な助言ができるよう、当事者や支援者の声を反映し親身な対応ができる相談員の研修、相談体制の整備の必要性も重ねて指摘。加えて、安心して相談ができるようにLGBT相談も受けていることを相談内容事例に明記するよう要望があった。

◆東京レインボープライドへ 東京都の後援を

この日の協議会で講演とコメントに立った、早稲田大学教授で労働法とジェンダー法が専門の浅倉むつ子さん。浅倉さんが委員を担い、実現した性の多様性を包摂する「多摩市女と男の平等参画を推進する条例」について確認、東京都や地方自治体へのさらなる働きかけの必要性が、200人を優に超えた参加者らによって共有された

この日の協議会で講演とコメントに立った、早稲田大学教授で労働法とジェンダー法が専門の浅倉むつ子さん。浅倉さんが委員を担い、実現した性の多様性を包摂する「多摩市女と男の平等参画を推進する条例」について確認、東京都や地方自治体へのさらなる働きかけの必要性が、200人を優に超えた参加者らによって共有された

2020年東京オリンピック・パラリンピック大会では、LGBTも含めた「多様性と協調」が基本コンセプトに掲げている。欧米をはじめ主要都市では、毎年、「性の多様性を表現し祝うLGBT当事者と支援者によるプライドパレード」が開催されてきた。東京でも1994年に初めて実施され、2012年以降は毎年春に開催されている。昨年は、イベントに約5万5千人、パレードに約3千人が参加。日本各地でプライドパレードが開催され、道府県の後援、各知事からのメッセージが届くなどの協力が広がっている。当事者から、今年4月末に予定されている「東京レインボープライド2016」への東京都の後援・協力が求められた。

東京都が困難を抱えるLGBT当事者のニーズに応え、多様性を認め合うことが当たり前の世界に恥じない共生都市・東京にするため、生活者ネットワークは、今回の要望の実現に向けて、継続的、積極的に取り組んでいく。

 

【注】L G B T と は、レズビアン(Lesbian:同性を愛する女性)、ゲイ(Gay:同性を愛する男性)、バイセクシュアル(Bisexual:相手の性別にこだわらない人)、トランスジェンダー(Transgender:身体や戸籍上の性別に対して違和感があり、それとは異なる性別として生きたいと望む人)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称の一つ。また、性的指向(セクシュアル・オリエンテーション:Sexual Orientation)は、恋愛や性的関心が主にどの性別に向いているかを示し、性自認(ジェンダー・アイデンティティ:Gender Identity)は、自らをどの性別と認識しているか(男でも女でもない両方である場合などもある)。性的指向(SO)および性自認(GI)の頭文字を採ったSOGI(ソギ:Sexual Orientation and Gender Identity)が国際的に使われるようになり始めているが、ここでは「LGBT」と表す。LGBT法連合会のWEBサイトはこちら

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