日本政治の右傾化と市民社会の新たな連帯のかたち――中野晃一さんを招いて〝新春のつどい〟開催!

日本政治の右傾化と市民社会の新たな連帯のかたち――中野晃一さんを招いて〝新春のつどい〟開催!

東京・生活者ネットワーク2016新春のつどい第一部。「日本政治の右傾化と市民社会の新たな連帯のかたち」の演題で講演する中野晃一さん(上智大学国際教養学部教授)。2016年2月2日、西新宿で

東京・生活者ネットワーク2016新春のつどい第一部。「日本政治の右傾化と市民社会の新たな連帯のかたち」の演題で講演する中野晃一さん(上智大学国際教養学部教授)。2016年2月2日、西新宿で

「アベ政権は今年で終わるだろう」。2月2日東京・生活者ネットワーク新春の集いの講演冒頭で、中野晃一さん(上智大学教授)が発したフレーズだ。
日本は少数派による右傾化、民主主義の空洞化が進んでいるが、しかし、賞味期限切れの安倍さんが自壊し退場してもこの政治状況は容易には変わらない。この動きは世界と連動しているからだ。今の政治状況に至った原因は90年代から始まり、20年かけてここまで来てしまったと分析する。

冷戦が終わり、1990年代後半、新ガイドライン、周辺事態法といった対米追随路線への転換と、新しい教科書をつくる会や日本会議などの歴史修正主義(バッククラッシュ)が始まり、戦後生まれの自民党議員に世代交代していく。この中に安倍首相もいた。2000年代には小泉構造改革と相まって強固な日米関係が出来上がり、第1次安倍内閣では教育基本法が改正された。2007年から政権交代の気運が盛り上がり、2009年に自民党から民主党へ、実質はじめての政権交代が行われたが、わずか3年で政権への信頼をなくす。同時に社民党の衰退や自民党保守派の衰退に拍車がかかり、リベラル勢力が著しく信頼を失っていく。再び安倍政権となるが、この間の国政選挙の得票率は13%程度であるにもかかわらず、今の選挙制度では自民党が勝ってしまう構造だ。このように政治は厳しい状態にあるが、中野さんは、一方でこれまでにない新しい市民運動の広がりがあることに注目したい、3.11以降の放射能汚染問題が市民の参加を促した、と説く。かつての運動にみられるような同一性ではなく、そもそも違いがあること、多様性・他者性を認めあい、それを前提に一緒にやっていく。それが、安保法制にかかる一連の運動につながり、SEALDsやママの会、学者の会なども連動、別々に活動していた運動体が緩やかに共闘する総がかり行動などに広がりをみせていく。

新春のつどい第一部。中野晃一さんと質疑応答

新春のつどい第一部。中野晃一さんと質疑応答

これまで平和運動にかかわってきた人たちは「民主主義を取り戻す」といってきたし、そういいがちだが、SEALDsや総がかり行動で中心的に活動する若者たちは、壊れたら「つくることから始める」と明快だ。感心するのは彼・彼女らが「伝える」という行為を大事にしていること。ネガティブ・キャンペーンでは決して無く、特にポジティブなメッセージを出すことに重点化、時間をかけて考える。それは他者に対するリスペクトがあるから。得てして、わかろうとしないことが悪い、正しいことを言っているのだから理解できて当然、といった一方的なメッセージになりがちだが、そうではなく彼・彼女らは相手にチャンネルを合わせることを忘れない。

「一人ひとりを大事にする市民社会が持続可能な社会をつくる――そのためには政治の世界に市民の声を届ける人を、作ることから始める人を、市民が連携して送りだすことが大事だ」と締めくくられた。

今年夏の参院選にむけて、比例区で東京・生活者ネットが推薦している、大河原まさこさん(元東京・生活者ネット都議)を紹介する、西崎光子(東京・生活者ネット代表委員/都議)

今年夏の参院選にむけて、比例区で東京・生活者ネットが推薦している、大河原まさこさん(元東京・生活者ネット都議)を紹介する、西崎光子(東京・生活者ネット代表委員/都議)

一方、4日の衆院予算委員会で、安倍首相は、夏の参院選では改憲を掲げ、発議に必要な3分の2の議席確保をめざす考えを鮮明にした。自民党が示す憲法草案の9条には自衛権と「国防軍」の保持が明記されている。

戦争の世紀といわれた20世紀に時計の針を戻さないために、おおぜいの市民と「一人ひとりが大事にされるあたらしい社会」をつくっていく――2016年新春の集いを終えて東京・生活者ネットワークの活動、取り組みが本格始動します。

 

 

 

 

大河原まさこさん、中野晃一さんを囲んで、生活者ネットの都議、区議、市議たち

大河原まさこさん、中野晃一さんを囲んで、生活者ネットの都議、区議、市議たち

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