暴走!新国立競技場 白紙撤回を機に、シンプルな競技場に舵を切ろう!

◆暴走!新国立競技場 なぜ引き返せなかったのか?

 

東京・生活者ネット新宿西口遊説に立つ山内れい子。9月7日

総工費2520億円。無節操に膨らんだ新国立競技場の整備計画が717日、白紙撤回された。北京五輪約540億円、ロンドン五輪約610億円と比べても呆れるほど破格な規模に国民の怒りが噴出し、白紙撤回に追い込んだともいえる。しかし、その一方、安保関連法案が衆議院で強行採決され内閣支持率が低下し始めたのを受けて、安倍政権が巻き返しを図ろうとする苦肉の策との見方もできる。

◆東京都議会 オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会から

舛添知事は、白紙撤回以降ツイッターやブログなどで、東京都に500億円の負担を求めてきた根拠が不透明なことなど文科省への批判を続けてきた。

828日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会で、自民党議員から、新国立競技場整備計画見直しに対し、知事の委員会出席が求められ、917日、質疑が行われた。自民党からは舛添知事の国批判に対し苦言が続出、知事はあろうことか反省姿勢を示し、さらに都の負担について法的な裏づけがあれば、これまで知事が上限としてきた「50億円」を越えて負担する可能性もあることを示唆する答弁まで出した。まさに「お・し・お・き」の委員会である。

◆重要なのは、国民の理解を得られる競技場にすること

しかし、白紙撤回で重要なのは、国民の理解を得られる競技場にすることだ。ザハ案は決定当初から、建築専門家や市民団体などから、「巨大すぎる」「総工費が膨れ上がる」など問題提起、疑念は噴出・続出していた。「旧国立競技場改修案」も出ていたが、まったく聞きいれられることはなかった。後先考えず旧国立競技場を取り壊してしまってからの見直しは怒りに堪えないが、白紙になったからには、規模を縮小し、シンプルに、将来の負担にならない身の丈にあった競技場にするべきである。

すでに多くの樹木が伐採されてしまったが、せめて残されている樹木を残し、東京の風致地区第1号:明治神宮内外苑付近にふさわしい、自然的景観と建築物の調和を保ち、愛される競技場をつくることが肝要である。選手に限らず、観客にとっても過酷な猛暑の時期での開催への対策としても緑豊かな競技場にするよう要望した。

2020東京大会は、バリアフリーの環境を整えることも求められている。しかし、障がい者からは、ザハ案では、車いす席数が国際基準を満たしていない、座っていても見やすい席の高さ(サイトライン)が配慮されていない、使い勝手のよいトイレではないなど、ユニバーサルデザインへの配慮が欠落していたという、当然の指摘もあった。

東京都議会で、生活者ネットワークの質問に対し、知事は「世界の人々がスポーツの力を通じて、人種、性別、性的指向、言語、宗教、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、互いに認め合う社会を育む大会をめざす」と答弁。今回の質疑でも新たな整備計画では、先進的なユニバーサルデザインの施設になるよう国に求めていく、との答弁をえている。

まさに、これから計画される新国立競技場はインクルーシブな社会へのきっかけとなるユニバーサルデザインでだれもが楽しめるスタジアムにすべきであり、ここに至る政策形成の過ちを厳に見直し、都民、国民の理解を得られる競技場にするべきである。 

東京・生活者ネットワーク都議会議員 山内れい子  [国立市・国分寺市]

(東京・生活者ネットワーク発行 月刊『生活者通信』№289より再掲)

 

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