敗戦後70年を「戦争元年」にさせないために、生活者ネットワークは行動します

安保関連法案が衆議院本会議で、強行採決された7月16日午後、生活者ネットワークの都議、区議、市議とメンバーが集合、新宿駅西口で、「戦争法案を廃案に!」とアピールした

敗戦後70目の夏がやってきた。8月は日本国民がヒロシマ・ナガサキの原爆被害者と先の大戦の国内外の犠牲者に思いをはせ、鎮魂と平和への思いを新たにする季節。しかし今、安倍政権により、日本が構築してきた平和の形が崩されようとしている。昨年7月に閣議決定した集団的自衛権行使容認を実体化し、本年4月に先行改定された日米新ガイドラインを実効あるものにすべく目論む「安全保障関連法案」は、衆議院での強行採決を経て、9月の会期まで、まさに参議院での審議が正念場だ。憲法学者・政治学者はもとより、元最高裁判事、内閣法制局OB、弁護士、若者や多くの市民団体が違憲や反対の声を上げ、各種世論調査でも「安保法案反対」が6割と半数を超え増え続けている。戦後長らく続いた自民党政権のもとでも、戦争の悲惨さを実体験した政治家たちの「戦争は絶対にいけない」との思いが重しとなり、憲法9条を盾として他国の戦争に巻き込まれることなく、戦後70年の今日がある。戦場と化した島・沖縄の基地返還闘争こそが日本を平和国家へと導く確かな歩みであった。そして戦後70年目の夏、酷暑のなか国会前では、法案成立に危機感を持つ若者や子育て世代も連日、「戦争法案反対」の声を上げている。

 

国会前では、法案成立に危機感を持つ若者や子育て世代も連日、「戦争法案反対」の声を上げている。7月31日

昨日14閣議決定され、発表された安倍首相による70年談話は、「植民地支配、侵略、おわび、反省」などの文言こそ入れられているものの、先の村山・小泉談話の引用や間接的な表現にとどまるものであり、その曖昧な態度は内外の批判を免れない。国民の内閣支持率が下がり続ける中、歴史修正主義とされる安倍首相の本音と、「21世紀構想懇談会」報告書や中国・韓国・アメリカへの配慮に腐心した産物との批判もまた避けて通れないだろう。「戦争には何らかかわりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」などの文章が盛り込まれているが、加害・被害を超えて歴史の真実は未来永劫捻じ曲げることは許されない。問われるべきは、今の世代、政権が戦後70年のおわびと反省をどのように世界に発信するか、今後の政治に反映させるのか、世界からの厳しい視線を再認識し、行動すべきだ。敗戦後70年の今年は日韓国交正常化50周年の節目の年でもある。今日に至るも、慰安婦問題、朝鮮半島出身者の旧民間人徴用工をめぐる裁判などが解決に至っていない実情にこそ日本政府は真摯な態度で臨むべきである。さらに唯一の被爆国として、核廃絶への歩みもまた進めなければならない。安倍首相は広島の式典で非核三原則に言及しなかった。核兵器を「持たず」「つくらず」「持ち込ませず」は歴代内閣の基本方針であり、ようやく長崎の式典で「非核三原則」を明言した。ならば「核の傘から非核の傘への転換」に向け南北朝鮮と日本で核兵器の製造や保有を禁じ、核保有国の米国、ロシア、中国には、この地域への核攻撃や威嚇をしないと約束させる構想を日本が呼び掛けるべきではないか。

戦後日本を研究し「敗北を抱きしめて」でピュリッアーを受賞したジョン・ダワー氏は84日付朝日新聞記事「戦後70年 日本の誇るべき力」で、「世界中が知っている日本の本当のソフトパワーは、現憲法下で反軍事的な政策を守り続けてきたこと。反軍事の精神は、政府主導ではなく、敗戦直後の極めて苦しい時代、多くの理想主義と根源的な問いから生まれた。もう一つの重要な時期は、60年代の市民運動の盛り上がり。反公害運動やベトナム反戦、沖縄返還など、この時期日本国民は民主主義を自らの手でつかみ取り、声を上げなければならないと考えました。女性たちも発言し始め、戦後の歴史で大切な役割を果たしています」と答えている。

戦後70年。東京・生活者ネットワークは「平和・人権・自由」が行き渡る社会、国民主権のもと民主主義が当たり前の社会を求め、安全保障関連法案断固阻止に向けて行動するともに、地域で市民とともに憲法の理念を実現する政治の実現をめざして活動していきます。

 2015815日                 東京・生活者ネットワーク

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