環境基本法改正に伴う規制基準の早期整備、及び使用済み核燃料再処理事業の廃止を経済産業大臣、環境大臣に申し入れ
環境基本法改正に伴う規制基準の早期整備、及び使用済み核燃料再処理事業の廃止を経済産業大臣、環境大臣に申し入れ
東京・生活者ネットワークは、7月18日、経済産業省と環境省に、「環境基本法改正に伴う規制基準の早期整備、及び使用済み核燃料再処理事業の廃止を求める」申し入れを行った。
この申し入れは、泊原発、六ヶ所核燃再処理工場(青森県)、建設中の大間原発(青森県)の問題を間近にかかえている市民ネットワーク北海道の呼びかけにより行われたもので、当日の参加者は、豊かな三陸の海を守る会、「六ヶ所再処理工場」に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活クラブ生協・千葉のメンバーなど総勢17人。東京からは、板橋、江戸川、品川、世田谷、練馬、府中の各地域生活者ネッ
トワークの議員らも参加し、それぞれの申し入れ書を提出した。
また、原子力公害に取り組む札幌市民の会、生活クラブ生協・北海道、北海道ワーカーズ・コレクティブ連絡協議会、神奈川ネットワーク運動、信州・生活者ネットワーク、埼玉県市民ネットワーク、つくば・市民ネットワーク、株式会社大地を守る会の各団体が、当日参加はしなかったが、同時に申し入れ書を提出した。
[東京・生活者ネットワークからの申し入れ書]
内閣総理大臣 安倍晋三殿
経済産業大臣 茂木敏克殿
環境大臣 石原伸晃殿
原子力規制委員会委員長 田中俊一殿
使用済み核燃料再処理事業の廃止に関する申し入れ
2014年7月18日
東京・生活者ネットワーク
代表委員:西崎光子/大西由紀子/池座俊子
福島第一原発事故は、広大な土地を汚染し、15万人もの人々から住み処を奪い、高濃度の汚染水は止まらないまま、メルトダウンした核燃料は、回収不可能という恐れさえ指摘され、今日に至っている。
日本の原子力政策は、最悪の公害産業である原子力産業を、公害規制法から全面的に適用除外し、核燃料サイクル構想を推し進めてきた。しかしながら、高速増殖炉もんじゅは、多発する事故・点検漏れなどによる無期限使用停止に追い込まれるなど、核燃料サイクル構想は完全に破綻している。そもそも、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理事業は、一旦過酷事故が発生すれば、福島第一原発事故を遙かに上回る被害をもたらすことは必至であり、そればかりか再処理施設は、たとえ事故に至らなくても原発一基が一年間で放出する放射性物質を1日で排出するといわれている。
日本原燃は、「拡散・希釈」の名の下に、大量の放射性廃棄物を海に大気に自然界に放出廃棄し、自然環境中にばらまいて、薄めてしまえばよいとしているが、この考えかた自体が、放射性物質による環境汚染の防止という視点を欠いている。
このような再処理事業が実施されるに至ったのは、放射性物質が公害規制法から全面的に適用を除外されてきたからである。原子力産業は公害法の規制を受けることなく、原子力基本法を始めとする原子力産業推進のための法体系によって、国策として推進されてきたのであり、この暴走を、いま止めなければ、取り返しのつかない汚染拡大の結果を招くことになる。
既にフランスのラ・アーグやイギリスのセラフィールドの再処理工場では、住民や周辺国から閉鎖を求める要求が続いている。六ヶ所再処理工場の操業に伴う放射能汚染については、岩手県内から、海洋汚染を規制する法律の制定を求める取り組みが行われており、「放射能海洋放出規制法(仮称)」の制定を求める請願を、県内35市町村中、34市町村が採択している。
福島第一原発事故を契機に、環境基本法が改正され、放射性物質は公害物質として扱われることになった。また、大気汚染防止法と水質汚濁防止法についても、放射性物質の適用除外規定は削除されたことに鑑み、以下、早急な対応を求めるものである。
1.政府の義務として、環境基本法上の環境基準を定めること。
2.放射性物質の公害規制については、放射性物質の性質上、排出・排水基準は地域・施設の別なく一律に定めること。
3.放射性物質について、線量管理目標値50マイクロシーベルト/年、規制基準は、法律上の公衆被曝線量限度の1ミリシーベルト/年と定めること。
4.政府は、これらの環境基本法や、その実施法である大気汚染防止法、水質汚濁防止法の定める法律上の義務に従って、所要の政令、省令を整備するために、公害規制と相容れない再処理事業については廃止すること。
東京・生活者ネットワークは、これまでこのような有害無益な事業を推し進めてきた原子力政策に強く抗議し、使用済み核燃料再処理事業の全面的廃止を要請し、以上申し入れるものである。