「遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認」は、食品の安全・生物多様性保全の観点から、容認することができません
「遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認」は、食品の安全・生物多様性保全の観点から、容認することができません。東京・生活者ネットワークは、以下の意見を、環境省当該対策室に宛て、提出しました。
環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 御中
第一種使用規程(6月12日分)
2014年7月8日
東京・生活者ネットワーク
代表 西崎光子 池座俊子 大西由紀子
【遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認に先立っての意見】
「遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認」申請は、以下の観点から中止にするべきです。
1.消費者にとって、食品の安全性に与える影響を判断するために、遺伝子組換え作物の中長期の毒性などの検証が不可欠です。性急な判断によって、人間の命に関わる食や環境に対して取り返しのつかないリスクを冒すべきではありません。少なくともまず、「予防原則」の考え方に基づき、長期的な視点での検証をすべきです。「想定外」というような事態を招かないよう、「予防原則」に基づき最悪のシナリオを想定した審査を求めます。
2.ダウ・ケミカル日本(株)、日本モンサント(株)、デュポン(株)といった多国籍企業の戦略は、種子の支配、農薬による環境汚染の点で重大な問題があります。にもかかわらず、特定の農薬と、それに耐性を持った種子を抱き合わせで販売する多国籍企業の戦略を国が追認するしくみとなっています。そのような企業活動を、審査という形で国の予算を使ってお墨付きを与えるようなしくみ(「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書」)は撤回すべきです。
3.現行のカルタヘナ国内法では生物多様性影響評価の対象は「野生動植物」に限られています。しかし生態系に影響がないとは言えません。現実的な生物多様性の保全に向けては、カルタヘナ国内法を改正し、交雑を防ぐ対象として農作物・外来種も含め、我が国に生育するすべての種を入れることに即刻取り組むべきです。
4.現在、日本では港だけでなく、内陸部のさまざまな地点でGMナタネの自生が確認されており、遺伝子汚染が懸念される事態となっています。このGM種子の侵入は、生態系に取り返しがつかない事態を引き起こすことが考えられます。生物多様性影響をもたらす可能性が低いと考えられる場合においても、徹底した調査と前述のカルタヘナ国内法の見直しを優先すべきです。
5.審査にあたって3月4日の1回のみ開催された「生物多様性影響評価検討会総合検討会」では、非公開で承認されています。「開発企業の知的財産等が開示され特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあるため」が、非公開の理由とされていますが、立場が異なる学識経験者に同じ資料を提供して知見を求めることを排除する理由には相当しません。「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書」(以下、「手順書」)の序文では、「国内には遺伝子組み換えに対する懸念をする意見の存在を踏まえた上で、『より透明性の高い』審査」が謳われています。手順書に則り、審査は原則公開で行われるべきです。
6.意見に対して「今後の意見・情報の募集につきましては、審査報告書が広く知られるよう努めるとともに、より分かりやすい情報提供方法を工夫していきたいと考えています」という対応方針を示しているにもかかわらず、パブリックコメント募集情報は省庁のホームページを見て知るパターンがほとんどです。記者発表もされているとのことですが、より多くの人たちに情報が届くように、多方面への情報発信が強化されるべきです。
以上