都議会生活者ネットが求めた<他のヤジ発言者の特定求める決議案>、最大会派などの反対で否決!~都議会ネットは継続調査・議論の場を求めていきます
都議会生活者ネットが求めた<他のヤジ発言者の特定求める決議案>、最大会派などの反対で否決! ~都議会ネットは継続調査・議論の場を求めていきます
6月18日の東京都議会第2回定例会一般質問において、塩村文夏議員の女性の妊娠・出産に関わる発言中に「早く結婚したほうがいい」「産めないのか」などの不規則発言(セクハラ・ヤジ)が発せられた。このような発言は女性に対する重大な人権侵害であり、性的に揶揄されることなどあってはならず、断じて許されるものではない。
発せられた内容は、性別に制限されることなくあらゆる分野への男女平等参画をすすめ、セクハラ防止に取り組む都政を、監視すべき都議会として、消すことのできない汚点を残したものと、生活者ネットワークは強く抗議。6月19日、都議会生活者ネットワークは、東京都議会議長に宛て要望書を提出し、今回の事態への厳正な対応を求め、今後このようなことがないよう強く申し入れてきた。
事態が動いたのは23日。東京都議会の鈴木章浩議員(大田区)は記者会見で、セクハラ発言が自身の発言だった(「産めないのか」発言につては否定)ことを認め、塩村議員に謝罪、都議会自民党を離脱したことを明らかにした。
すでに、国内に留まらない海外の主要メディアがこの問題を報道。日本の男女格差の現状を指摘し、差別的発言として取り上げている。問われるべきは、女性施策や人権施策を審議すべき立場にある、公人であるところの都議会議員の、人権意識の低劣さなのである。この意味において、鈴木議員、並びに自民党幹部が発した謝罪内容は的外れであると言わざるを得ない。
6月25日、定例会最終日を迎えた東京都議会は、信頼回復と再発防止に努める決議案を可決。可決した決議案は「女性議員に対し、人権侵害と言われかねない不規則発言が発せられ、都民の信頼を損ねた。二度とこのようなことが起こらないよう再発防止に努める」としたもので、自民・公明・民主・結いと維新・みんなの5会派が提出。
この決議案に先立ち共産は、「ヤジを認めた都議の辞職や、他のヤジの発言者の辞職を求める」決議案を提出したが否決。
都議会生活者ネットワークは、民主党・みんなの党とともに、「ヤジを認めた鈴木議員以外の、他のヤジの発言者の特定を求める」決議案に賛成したが、最大会派の自民などの反対で否決された。
今回の都議会では、不規則発言(セクハラ・ヤジ)を巡る対応に遅れをとり、議会としての幕引きとも取られかねないような決議は、都民から見て納得できるものとなったとは言いがたい。
本会議最終日前日の、6月24日召集の議会運営委員会の理事会では、先述の3つの決議案が示されたが、これほどの事態を国内外に引き起こした都議会として真摯な対応が求められる事案であり、本来であれば、しかるべき決議文が全会一致で提出されるべきであった。
議会運営委員会の理事会メンバーではない都議会生活者ネットワークは、「問責決議」に匹敵する決議内容を、民主党などに働きかけたが、しかし、時間が圧す中で、調整に至らず、結局、翌本会議では3つの決議案が順次採決される事態となった。
都議会生活者ネットワークが、民主党、みんなの党とともに提案(提出会派:民主・みんな)した決議文は――
【「早く結婚した方がいい」という発言については、発言があってから5日後の6月23日、鈴木議員が自らの発言であることを認め謝罪した。しかし、同議員はマスコミのインタービューに対し、一度は全面否定しており、都議会の会議規則で「懲罰の動議は事犯があった日から起算して3日以内」とされていることを承知したうえで、懲罰逃れを意図した可能性も否定できない。同時に今回の問題は、この議員の一人の問題で終わらせるべきではない。特に出産に関する不規則発言については、発言者も明らかになっていない。/今回の一連の不規則発言は、海外メディアへの波及をはじめ、東京都議会への信頼を大きく損なう結果を招いた。/よって、東京都議会は、「早く結婚した方がいい」と発言した議員に猛省を求めると共に、他の重大な不規則発言をした議員についても、自ら潔く名乗り出ることを求める。そしてこの事態を重く受け止め、二度とこのような事が起こらないよう信頼回復に向け、努めることを決意するものである。】
東京都議会第2回定例会は、しかし、次善策でしかない決議文の採択をもって閉会したが、今後、どのように人権侵害の再発を防止し、都議会として都民の信頼回復に努めるのか、具体的な対応においては話し合われてはいない。また、複数の議員が不適切発言を発した事実においては、聞き取れなかったなどを理由に、調査委員会も設置されずじまいである。この問題を決議文の採決をもって幕引きとするようなことがあってはならず、都議会生活者ネットワークは、今後、他会派や女性議員への働きかけを継続し、決議内容を実行するべくしっかりと取り組んでいくことになる。
生活者ネットワークが粘り強く働きかけ、2007年12月に要綱設置された「都議会のあり方検討委員会」では、それまでネットが求め続けた懸案であった「政務調査費の1円からの領収書添付」を実現させた経緯がある。今回の問題こそ、こうした対応が必要とされる事案であり、生活者ネットワークは都議会生活者ネットとともに、継続調査・徹底議論の場の設定を求めていきます。