脱原発フォーラム「脱原発社会の創造―今、市民として取り組むべきこと」に100団体・840人が参加! 白熱の4セッション!!
「脱原発社会の創造―今、市民として取り組むべきこと」をテーマに100団体・840人が白熱の4セッション!!
4月13日(日)、日本教育会館一ツ橋ホールを会場に、東京・生活者ネットワークも実行委員会参画団体(17団体)である「脱原発フォーラム」が開催されました。政府が「原子力発電を重要なベース電源として引き続き活用」「安全性が確認された原子力発電所について再稼働を進める」などとした新しいエネルギー基本計画を閣議決定した2日後となったこの日、脱原発を求める全国100以上の市民団体や生協、NGOなどを中心に840人が参加し、午前10時から午後5時半まで、原発ゼロ社会を展望する具体的かつ、熱い議論が交わされ、「脱原発社会」に向けた取り組みを確認しました。
◆第1セッション:脱原発政策大綱とエネルギー基本計画
当日発表された200ページを超える「原発ゼロ社会への道―市民がつくる脱原子力政策大綱」は、「脱原発社会構築のために必要な情報収集、分析及び政策提言をする市民シンクタンク」(2013年4月設立)に結集した研究者やNGO関係者、弁護士など11人の委員に加え、数十人に上るアドバイザー・部会メンバーからなる「原子力市民委員会」がまとめたもの。既存の「原子力委員会」は原子力関係者による、原子力関係者のための組織として、原子力政策の企画・審議・決定を行ってきたとの認識に立ち、「原子力市民委員会」では市民の公共利益の観点に立って「脱原子力政策大綱」(序章・5つの章・終章)がまとめられました。
すなわち、原子力市民委員会が原発ゼロ社会を一日も早く実現するために必要と考える、公共政策の骨子についてその全体像を示したものとなっており、原子力政策の重要部分の多くをカバー。多くの市民・NGOらがともに、かつ体系的に脱原子力運動を進めるための指針、政府が示した基本計画への、批判に留まらない対案提示となっています。座長は、フォーラムの実行委員長でもある舩橋晴俊さん(法政大学社会学部教授)。
第1セッションでは、菅波完さん(高木基金事務局)を進行役に4人のメンバーが登壇。
・武藤類子さん(福島原発告訴団団長)からは、「第1章福島原発事故の被害の全貌と『人間の復興』」が、
・大島堅一さん(立命館大学国際関係学部教授)は、「第5章原発ゼロ社会への行程、福島事故を発生させた国と東京電力の責任の明確化、エネルギー転換基本法制定、脱原子力庁
の設置」など
・満田夏花さん(国際環境NGOFoEJapan理事)からは、「国のエネルギー基本計画のプロセスと内容の問題点、トルコへの原発輸出がトルコ国民の8割の反対にあっている」ことなど
・舩橋晴俊さんからは、「脱原子力政策大綱の要旨」が発表されました。
≪脱原子力政策大綱の骨子≫
〇原発は過酷事故の被害が大き過ぎ、復旧も長期にわたり不可能。法律に基づいて廃止 〇「人間の復興」を進めるため〈原子力災害復興基本法〉を制定 〇事故について国と東電の責任を明確にし東電の破たん処理。福島第一原発処理公社を設立。廃炉業務を一元的に推進 〇核燃料サイクル事業を廃止。政府系機関「日本原子力廃止措置機関」を設置、廃棄物の管理・処分を一元的に実施 〇原発ゼロ社会を実現するために「脱原子力基本法」や「エネルギー転換基本法」を制定、原子力開発を進めた組織を廃止し、「脱原子力庁」を設置 〇原発ゼロ社会実現のため、民意を反映する議会構成の実現、市民運動と公論形成など積極的な取り組みを進める
*全文は原子力市民委員会ウエブサイトへ⇒ http://www.ccnejapan.com/
◆第2セッション:立地自治体の経済と原発依存からの脱却―福島原発事故から考える
上原公子さん(脱原発を目指す首長会議事務局長・元国立市長)を進行役に進めた第2セッションのキーワードは、「エネルギー計画は土地利用政策!」
・村上達也さん(元東海村村長)は、「原発マネーと地域経済―原発は疫病神だ、貧乏神だ、と断じ、原
発依存、エネルギー多消費の成長社会の終焉(ポスト成長経済)」を
・大西隆さん(日本学術会議会長)からは、福島復興支援の考え方として「戻る人には徹底した除染、将来の産業・雇用・新たな産業の創出という地域の復興」に加えて、「移住を支援し賠償の対象とすること、低線量の健康影響への継続的な調査という人の復興が必要」であること
・村上光男さん(全国農業協同組合中央会副会長)から、JAグループとして「将来的な脱原発に向けた循環型社会への取り組み方針として、これまでの小水力発電、太陽光発電、バイオマス発電をいかし、地域計画の実態に応じた再生可能エネルギー事業への関与を図る」決意などが発表されました。
◆第3セッション:福島の現状から脱原発の未来を創造する―原発事故と暮らし(食・生活)
第3セッションを進めたのは、林薫平さん(福島大学経済経営学類特任准教授)
・小山良太さん(福島大学経済経営学類准教授)は、「原子力災害に伴う、食と農の『風評』においては、検査態勢の徹底、体系化が欠かせない」と「緊急提言」が
・濱田武士さん(東京海洋大学准教授)からは、漁業復興について切実な報告があり「試験操業を継続し、安全性を徹底確認しながら本格操業をめざす」現状が
・佐藤一夫さん(福島生協連専務理事)からは、「安心して住める福島を取り戻す
ために~福島生協連の活動」と題して報告。他県と比較した福島の保護者、子どものストレスの高さは痛ましいものがあります。福島の子ども保養プロジェクトや29組織、360人が参加する「どじょスク」という徹底した土壌調査、市民生協ならコープから寄贈された「ホールボディカウンターの活用」など被災者に寄り添った活動が
・川上雅則さん(JA福島中央会参事)からは、まず「人的被害のうち、震災後関連死の急増している(すでに災害時直接詩を大きく上回って深刻化)福島の現状」が、さらに「福島県の農業被害と復旧・復興の状況、再生可能エネルギーを活用した営農ビジョン」が語られました。
◆第4セッション:脱原発社会はこうしてつくる! 市民として取り組むべきこと
最終となったこのセッションでは、吉田明子さん(脱原発・新しいエネルギー政策を考える会「eシフト」)、竹村英明さん(脱原発政治連盟「緑茶会」代表)を進行役に、実行委員会参画団体関係者を中心に、「脱原発社会に向けて、暮らしを変える、社会を変える24の実践・提案」が披露され、東京・生活者ネットワークのメンバー・関係者らも多数、実践報告に立ちました。最後に、≪今日からチャレンジ!脱原発宣言≫を参加者全員でアピール。改めて、一人ひとりが一歩ずつ確実に脱原発社会への道を歩むことを確認、明日からの活動を約し閉会となりました。
この日、市民、研究者、NGOなどが一堂に会し、互いの取り組みを共有できたことを今後に生かし、原発ゼロ社会を必ずや建設していかなければなりません。東京・生活者ネットワークは設立以来38年間、≪核廃絶・脱原子力・原発は廃炉に≫を基本政策に掲げ活動してきました。「脱原発フォーラム」を新たなスタートに、これからも市民、研究者・技術者、NGO/NPO、ネットワーク活動をともにするローカルパーティなどとつながり、脱原発に向けた活動を展開していきます。「脱原発政策大綱」をもとに、今後各地で開催される集会で、公論を盛り上げて、さらに大きなうねりをつくり上げていきましょう。
≪持続可能な脱原発社会をつくろう!!-今日からチャレンジ!脱原発宣言≫
◆家庭ではじめる「一人からできる」脱原発 福島の現状を知ろう/家庭でできる省エネ・省エネ家電に買い替え・アンペアダウンを/家の新築やリフォームは省エネ設計に/企業の姿勢・原材料の素性を知ろう!買い物で脱原発を選ぼう/パブリックコメントで意見を出そう/太陽光温水器・太陽光発電などを設置/再生可能エネルギーの地域事業に出資しよう……など
◆地域ではじめる「仲間と一緒に」脱原発 5人でも10人でも集まったら脱原
発カフェを開こう/福島からの避難者支援を続けよう/脱原発首長や議員を応援しよう/自治体から、再生可能エネルギーや省エネ促進条例をつくろう/市民立の電力会社をsつくろう……など
◆政府を動かし「しくみを変える」脱原発 国政選挙、脱原発候補を選んで投票しよう/「子ども被災者支援法」を被害者救済に役立つ法律に/東京電力をきちんと破綻させ、責任をとらせよう/原発にも化石燃料にも頼らない持続可能な新しいエネルギー社会をつくろう/世界の英知を集めて、原発事故の処理・廃炉などのルールを進める新しい機構をつくろう/未来への責任・汚染亡き脱原発を実現する「放射能汚染防止法」を制定しよう/再生可能エネルギー普及を可能とする電力改革を実現する……など