安倍政権のエネルギー基本計画、防衛装備移転三原則・集団的自衛権行使容認、閣議決定に、生活者ネットワークは強く抗議します!
安倍政権のエネルギー基本計画、防衛装備移転三原則・集団的自衛権行使容認、閣議決定に、生活者ネットワークは強く抗議します!
4月4日、自民党は自民・公明で修正合意(3日)した「エネルギー基本計画案」を了承。さらに同日、トルコとアラブ首長国連邦に原子力発電所を輸出できるようにする「原子力協定承認案」を、衆議院本会議で自民・公明・民主の賛成多数により可決した。
東京・生活者ネットワークは、「エネルギー基本計画」(政府案)に強く異議を表明するとともに、2012年の国民的議論を受け、およそ8割を超える国民が希求した「原発ゼロ」「脱原発」政策をこそ安倍政権は推進するよう強く求めてきた。しかし、自公の協議では、エネルギー基本計画案ではじめに書かれていた「安全神話への深い反省」の文言は削除され、政府原案の冒頭にあった東京電力福島第一原発(福島県)事故への「反省」さえも削除された。核燃料サイクルでは「再処理やプルサーマル発電の継続」「もんじゅは国際研究拠点として継続」と、現状維持というのだから、開いた口がふさがらない。原発の削減目標もなければ、再生可能エネルギー推進の数値目標もない。11日には閣議決定するといわれているが、極限に達した民意無視、直接市民生活に係る日本のエネルギー政策を、まるで事故などなかったかのように再び原発推進に向けるなど、とうてい容認できるものではない。福島第一原発事故はその原因さえ未解明なままであり、高線量の現場ほど杜撰な労働者の被曝管理の問題、加えて汚染水問題は困難を極めている。事故当事国としての贖いきれない責任、その重大性とさらなる汚染の増大を考えれば、海外への原発輸出など論外であるはずだ。
さらに4月1日、政府は「防衛装備移転三原則」を閣議決定。運用指針も施行され、1976年以来、武器や関連技術の海外移転を禁じてきた原則は覆され、武器の輸出が解禁されることになる。新原則を行うことは、日本が開発した武器が戦場で使われる可能性があるということであり、日本が紛争に加担する危険性を孕んでいるということだ。今後、欧米諸国との武器・装備品などの共同開発が進むこともまた懸念されるということだ。安全保障政策の大転換を着々と図る安倍晋三首相に問いたい。憲法9条が掲げる平和主義には、武器生産も、武器輸出による国際貢献も存在しないことを。かつてアジア同胞の地に侵略を試みた、その反省のもとに日本の戦後70年があるのではなかったか。
同様に集団的自衛権解釈改憲の動きも見過ごせない。そもそも憲法とは、立憲主義のもと国家権力の暴走にこそ歯止めをかけるための市民憲章である。しかし、現実に安倍政権が行ってきたことは特定秘密保護法強行採決であり、日本版NSC(国家安全保障会議)の創設であった。さらに閣議決定で集団的自衛権行使容認に踏み切ろうとしている。米国の誤報で殺戮に加担したイラク派兵、その反省のないままの米国追従安保、日米同盟の深化、盲従も一層の軍事力強化にほかならない。一方、朝日新聞の世論調査では「行使容認反対63%」と昨年より増加、「戦争に巻き込まれる不安」を感じている人は88%と高い。改めて安倍政権に問いたい。日本の平和主義は、1千万アジア同胞を殺戮した先の侵略戦争の反省の上に成り立つものであることを。安倍晋三首相の政治理念「積極的平和主義」は、日本を戦争のできる国にすることではあっては断じてならず、憲法に則った自国の平和構築、憲法が要請する平和外交や、経済援助・開発援助などを通じた国際平和への貢献にこそ一層の努力を誓うものでなければならない。
東京・生活者ネットワークは、安倍政権が進めようとしている軍事国家路線に断固反対するとともに、日本の方向性を左右する重要問題においては、国民的議論の場を幾重にも積み重ね、かつ国会での開かれた議論を十分に行うことを強く要請する。安倍晋三首相に三度問いたい。国のかたちを決定する者は、主権者・市民であることを肝に銘じるべきである。
2014年4月6日 東京・生活者ネットワーク