「特定秘密保護法案」を廃案へ! 法案の衆議院通過にあたって、東京・生活者ネットワークは声明します
東京・生活者ネットワークは、法案の衆院通過にあたって、この法案が孕んでいる本質的問題に踏み込むことなく審議が打ち切られ、強行採決に至ったことに、怒りとともに強く抗議するものであり、特定秘密保護法案の即時廃案を求めます。
11月26日、安倍内閣が国会に提出した「特定秘密保護法案」が、衆議院で強行採決され、可決しました。
生活者ネットワークは、市民の知る権利を保障するために、公的機関の情報公開を進めてきた立場から、本法案に一貫して反対を表明し、あらゆる場・機会をつかって「特定秘密保護法案」の絶対廃案を求めてきました。
衆議院での法案修正では、秘密指定と解除・適性評価基準を作成することとされましたが、政府の説明責任の徹底と恣意性の排除、市民の知る権利の保障に係る実質的内容は不明確極まり、法案自体の問題は何一つ変わっていません。今必要なのは、「恣意性にまみれた、治安維持法にも匹敵する特定秘密保護法案」などではなく、情報公開の確たるしくみの推進です。法案が孕んでいる本質的問題に踏み込むことなく衆議院での審議が打ち切られ、強行採決に至ったことに、怒りとともに強く抗議するものです。
特定秘密保護法案では、その対象となり得る情報は、①防衛②外交③外国の利益をはかる目的の安全脅威活動防止(=スパイ活動防止)④テロ活動防止――の4分野とされていますが、衆議院での見せかけの修正協議を経てなお、特定秘密は「行政機関の長」が指定できる前提は変わらず、依然として「対象分野は無制限」「何が特定秘密であるかも秘密」とされることが危惧されます。また、特定秘密の漏えい、取得などに係る罰則は、市民にとって重要事項である情報の自由な流通を閉ざし、知らされることも、未来永劫、自国の歴史を検証することもできないことになる危険性を孕んでおり、特定秘密の指定期間が30年から60年に延長できるなど修正協議を経て後、その危険性はむしろ増すばかりです。
今、この法案の成立を許すことは、政府の保有する情報には「由らしむべし知らしむべからず」の古い政府へと回帰することを容認することであり、自民一強体制のもと、国連主義と逆行する集団的自衛権解釈改憲・立法改憲への途をも許すことになりかねません。民主主義を、市民主権を殺さないために、私たちが戦後手にした平和憲法、すなわち立憲主義・国民主権・平和主義・基本的人権を侵害する安倍政権の巧妙な手口を暴き、市民自らが声をあげ、法案成立を断固阻止しなければなりません。
「特定秘密保護法案」は、参議院へとところを変え審議入りをしましたが、良識の府とされる参議院でこそ、この法案が内包する根源的な問題を徹底審議されることを生活者ネットワークは強く求めるとともに、特定秘密保護法案の、今国会での廃案を求めるものです。