「特定秘密保護法案」の欺瞞を見逃すな! 市民の手で法案廃案へ!
「特定秘密保護法案」の欺瞞を見逃すな!―11.22緊急院内集会開催!
安倍内閣が国会に提出した「特定秘密保護法案」は、今まさに衆議院を通過しようとしている。このまま与野党が中途半端な修正案をもって成立に向けるようなことがあれば、市民の知る権利や基本的人権は実質意味を失い、メディアの報道・表現の自由もまた奪われてしまうことになる。民主主義の危機的状況を前に11 月22 日、東京・生活者ネットワークは「特定秘密保護法案の欺瞞を見逃すな!―11.22 市民と議員の法案阻止緊急院内集会」を全都に呼びかけ、院内で、国会周辺で法案成立絶対阻止をアピールした。
そもそも特定秘密保護法案って? その概要と問題点
特定秘密保護法案とは、国にとって特に重要な情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、「特定秘密」を外部に知らせたり、外部から知ろうとする人などを重罪に処すことによって「特定秘密」を守ろうとするもの。対象となり得る情報は、①防衛②外交③外国の利益をはかる目的の安全脅威活動防止(=スパイ活動防止)④テロ活動防止――の4分野とされる。しかし、特に秘匿することが必要であるもの=特定秘密は「行政機関の長」が指定できることになっており、「対象分野は無制限」となることが危惧されるばかりか、「何が特定秘密であるかも秘密」とされることになる。
市民にとっての重要事項について、知らされることも、また未来永劫、自国の歴史を検証することもできないことになる危険性を孕んでいるこの法案が成立すれば、市民が憲法で保障されている知る権利は実質意味を失い、市民主権もまた灰燼に帰すことになるだろう。
そして、その危険性は抽象的な概念でも杞憂でもなく政府・官僚組織の来し方、具体事例からも明らかなのである。たとえば防衛・外交問題である。「核を持ち込ませず」と謳った非核三原則にもかかわらず、米国の情報公開によって白日の下に曝された「米軍核持ち込み容認」「沖縄密約情報」などを、政府・外務省は「文書不存在」と抗弁し続け、さらには「文書破棄」に至ったものとの疑念が拭えない事態がある。
さらにはテロ防止に係る原子力政策の欺瞞である。そもそも原発を核の平和利用などと衆目を欺き、市民の抵抗・原発情報の開示請求に蓋をし続けてきたのは政府・科技庁に端を発する官僚組織、そして現経産官僚たちである。3・11に直面してなお、巨費をつぎ込んで開発された「緊急時迅速放射能影響予測システム(=SPEEDI)」の情報を隠し通し、適切な避難誘導もヨウ素剤の配布をも怠ったのは時の政府である。加えて、政府自らが立ち上げた原発事故処理に係る会議体の、その会議録をも「不存在」として情報の隠ぺいを工作してきたではないか。
原発情報は対象に当たらないなどと詭弁を弄してみても、隠ぺい体質は周知の事実であり、今必要なのは、行政の恣意性にまみれた治安維持法にも匹敵する「特定秘密保護法案」などではなく、情報公開の確たるしくみをこそ推進すべきなのである。
民主主義を、主権在民を殺さないために、法案成立絶対阻止を!
遡る1977 年、生活者ネットワークは、参加と自治の市民政治を進めるべく発足した市民の政治ネットワークである。その推進に、行政情報・議会情報の開示が必要不可欠であることから、「憲法」「情報公開法」「公文書管理法」などを根拠とする、市民の知る権利を保障するしくみづくりを地域から着実に進め、市民社会での定着をめざしてきた。
今、この、問題まみれの法案の成立を許すことは、政府の保有する情報には「由らしむべし知らしむべからず」の古い政府へと回帰することを容認することであり、自民一強体制のもと国連主義と逆行する集団的自衛権解釈改憲・立法改憲への途をも許すことになりかねない。民主主義を殺さないために、私たちが戦後手にした平和憲法、すなわち「立憲主義」「国民主権」「平和主義」「基本的人権」を侵害する安倍政権の巧妙な手口を暴き、法案成立を断固阻止しなければならない。
安倍内閣の欺瞞を見逃すな! 一人ひとりが行動しよう! 声をあげよう!
主催:小田実文学と市民運動を考える会のもと、東京・生活者ネットワークが呼びかけたこの日の「市民と議員の法案阻止集会」では、糸井玲子さん(平和を実現するキリスト者ネット)、高橋武智さん(わだつみの声記念館館長)、宮田毬栄さん(小田実文学と市民運動を考える会/エッセイスト)、池田恵理子さん(Wam女たちの戦争と平和記念館館長)、竹信三恵子さん(和光大学教授/ジャーナリスト)、柴田鉄治さん(科学ジャーナリスト)らが、それぞれの活動・運動現場から法案の危惧するところを説き、それぞれの人生経験をふまえて法案を絶対廃案に追い込まねばならないと意見を述べた。
東京・生活者ネットワークからは、都議会議員(杉並区)の小松久子が、発言者の一人として登壇。教科書採択への都教委の恣意的な介入問題について審議する東京都教育委員会で、傍聴者に対する異常で執拗な監視が行われた事態を交えて問題提起。すでに十分監視国家化が危ぶまれる事態なのであり、必要なのは健全で真っ当な情報開示であること、まして「今回の法案は市民の手で何としても廃案に!」と訴えた。