3.11から3年目の春~電力消費者である私たちには「脱原発」を実現させる責任がある
東京電力福島第一原発の過酷事故から2年を経て、終わりなき原発災害が広がっている。
新聞・テレビで報道されるこの2年間の被災地の現状に心痛まない人はいない。それにもかかわらず脱原発を選択できない日本とは! 被災地ではもはや、「放射能が怖い」とすら言えない空気が広がっているという。3.11を経て、ドイツやイタリアは脱原発を選択し、日本でも2012年夏の「国民的議論」を経て、民主党政権は「2030年代までに原発稼働ゼロ」を打ち出した。少なくともわずかな希望をつないでいたのだが、再び政権の座についた自民党安倍政権は、何よりも経済優先!「安全な原発は再稼働する」と表明している。
安倍政権下での再稼働が現実味をおびる中、しかし一方で、長年の産官学の癒着体質・利権構造は凄まじく、原発という犯罪行為もまた、次々と明るみに出ている。そもそもこの国は、3.11からいったい何を学んだのだろう? 「福島原発事故は、依然収束していない」し、「事故原因を解明できたとは思わない(国会事故調報告:提言7より)」、現実をふまえ、3.11から3年目の春を迎える今、再びの「安全神話」を許さず、抗い続ける行動を始めなければならない。
3月9日から11日の「つながろうフクシマ!さようなら原発大行動」の3日間には、明治公園や日比谷公園を起点としたデモ行進が行われ、10日には衆参両院に対して「脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める全国署名」、1000万人署名の追加提出が行われた。現在820万筆。1000万筆をめざし署名活動が続けられる。落合恵子さんがいみじくも語っているように「こんなにたくさんの皆さんが思いを一つにしている。しかしここにいない人、関心のない人にどう伝えるのか。新しい活動方法を編み出さなくてはいけない」ことも事実だ。
11日にはきゅりあん(品川区総合区民会館)で「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」(主催:「さようなら原発」一千万署名市民の会)が行なわれ、1000人をはるかに超える人たちが脱原発への思いを新たにした。「大災害は人と人を結びつけるが、原発は人と人を引き裂く」と話を起した福島大学教授の清水修二さんは、福島の窮状を次のように訴えた。すなわち「帰還するかしないかの対立、途方もない被害が起こっていることを声を大にして言いたい思いと、甲状腺ガンの調査結果に『子どもが何万人も死ぬことはな
い』とほっとする思い…しかし、震災関連死は1300人を超え、避難していない人のストレスは大きい。がんや白血病に限らない子どもたちの健康状態は、確実にわるくなっており、閉じ込められ運動が制限される中での肥満の問題、精神的ストレスから心の健康への影響が特に心配される」、それが3.11から2年を経た福島の現実なのだ。福島県民集会では「福島県内10基を廃炉に! 原発のない福島を!」が決議された。県民も議会も知事も原発廃炉を訴えている。
翻って、確実なことは、福島第一原発の電気は私たち東京都民が消費していたことである。福島の人々はそれを声高に叫ばないが、私たちには「脱原発」を実現させる責任がある。