広域瓦礫処理に関する特別措置法の見直しを求める
10月11日、東京・生活者ネットワークは『「災害廃棄物特別措置法」ならびに「放射性物質汚染対処特別措置法」に関する要望書』を長浜博行環境大臣あてに提出しました。
この要望書は9月8日に行われた議員連絡会で「災害瓦礫廃棄物広域処理の課題」をテーマにワークショップ形式で意見交換を行い、そこから出てきた課題をもとに国に対する要望としてまとめたものです。主な意見は「情報公開」「合意形成」「被災地支援=自治」に集約されました。
「災害廃棄物特別措置法」ならびに「放射能性物質汚染対処特措法」に関する要望書
2011年3月11日に起きた東日本大地震により、大量の災害廃棄物が発生しました。
環境省は被災地の1日も早い復興に向けて、災害廃棄物の早急な処理のために『広域処理』を決定し、同年8月18日「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法」を成立させました。
また、福島第一原発事故による放射能汚染の影響があることから、8月30日「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射能物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」が成立しました。さらに、同年5月 には「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針」で、3年間で処理・処分を完了させることを決定しました。
東日本大地震・福島第一原発事故から約一年半が経ち、災害廃棄物処理・放射能汚染物質に関するさまざまな課題・問題が見えてきました。特に被災地の「声」が届かず、復興が遅れている感は否めません。福島第一原発事故後、国の暫定基準値(平成23年6月28日環境省事務連絡抜粋)として示された8000ベクレルについても、いつまで措置期間とするのか、東日本大震災前の放射性物質は封じ込め、拡散させないという原則に戻り、再検証が急務です。
今年5月、災害廃棄物の処理計画や処理量の見直しがありましたが、3年という目標処理期間は変わらず、広域処理推進の枠内での見直しでしかありませんでした。被災自治体では法規制があるため、なかなか自治体の意向が反映できない現状があります。自治体が災害廃棄物をどう処理したいのか、また、独自の方法を模索するには、財源・人の体制も不足しています。被災自治体の「自治」に耳をかたむけるには、災害廃棄物処理の根拠法の見直しの必要性が出てきていると考えます。
また、1995年の阪神・淡路大震災時、被災建物の復旧作業に約2カ月携わった宝塚市の男性がアスベスト(石綿)疾患の中皮腫で死亡、西宮労働基準監督署が労災として認定していたことが分かりました。東日本大震災でも多くのボランティアが復興にかかわりました。アスベストなど有害化学物質についても国としての対策が求められます。
東京・生活者ネットワークは「災害廃棄物特別措置法」ならびに「放射能性物質汚染対処特措法」に関して、以下のことを要望します。
1、被災自治体の状況、被災地の意向を把握したうえで復興に必要な支援の見直しを行うこと
1、処理期間の延長とそれに伴う財源について、被災自治体が活用しやすく、選択可能なしくみに改善すること
1、放射性物質の継続的測定を行うとともに徹底した情報公開と説明責任を果たすこと
1、放射性物質汚染対処特措法に基づく廃棄物の指定基準8000Bq/kgについては予防原則、科学的知見に基づき、再検証を行うこと
1、災害廃棄物は焼却だけでなく、埋め立て処分を含め処理方法を再検討すること