政権交代の経験をどう生かすかが問われている

民主党政権の意義と限界

東京・生活者ネットワーク 国政フォーラム〜政権交代の経験をどう生かすか〜2012年5月22日参議院議員会館にて
東京・生活者ネットワーク 国政フォーラム〜政権交代の経験をどう生かすか〜2012年5月22日参議院議員会館にて
第18期初となる今回の東京・生活者ネットワーク国政フォーラムの演題は、「政権交代の経験をどう生かすか」。民主党の政権交代に夢を託したものの、同様に失望しつつも、政権交代後の2年間の軌跡をたどり、政策形成のあり方、政と官の関係、国会政治の形などから民主党政権の意義と限界を冷静に検証し「政権交代とは何だったのか」を上梓された山口二郎さん(北海道大学教授)に講演いただいた。
 山口さんは開口一番、「民主党にも、自民党にも失望した国民のはけ口が橋下率いる大阪維新の会のような、得体の知れないところに向かっている、やけっぱちの希望を託していることが問題だ」。「そもそも『民主主義とは、それ自体に、これが民主主義か?という幻滅があらかじめビルトインされたform of governmentなのであった』」と堀田善衛氏の至言を引用し、同様にドイツ統合前夜の、自由と解放への期待と次に来る現実を例に、「政治への期待と幻滅は織り込み済みだ。その上で、民主党政権によってできたことを一つでも二つでも採りあげ、政権交代の意義や成果においてはフェアな議論をしてあげなければならない」と分析。同時に山口さんは、「原発問題は、消費税率引き上げよりも重要な野田政権の政治生命にかかわる問題だ」と続けた。
 結果の是非はさておき事業仕分けが成ったこと、子ども手当の支給や高校無償化など脱裁量型の資源配分や、NPO税制に見られる市民社会の強化策など、官の聖域に少なからずメスを入れたのは民主党政権下で進んだ取り組みであり、市民による政権交代があったからからだ。鳩山—菅—野田政権に絶望する前に、政権交代の実を是々非々で批判・評価・検証し、現政権に依然欠落する市民運動、社会運動と国政をつなぐ力になる—絶望するのはまだ早い—と山口さんは話された。
 生活者ネットワークはローカル・パーティとして政権交代を冷静に検証しなければならない。
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