「東日本大震災子ども支援ネットワーク」が発足! 院内で初会合
東京・生活者ネットワークは同ネットワークに賛同、ともに取り組みます
標記のネットワークは、「公益財団法人日本ユニセフ協会」「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」「認定NPO法人チャイルドライン支援センター」と東京・生活者ネットワークも賛同団体参加する「NPO法人/国連NGO子どもの権利条約総合研究所」の呼びかけにより立ち上げたもので、被災地の子どもや子育て家庭が置かれている情報・意見交換を密にしながら、子どもの視点からの支援を進めようと5月5日、発足した。主催4団体はこのネットワークへの、さらにおおぜいの賛同と参加をと呼びかけている。
26日の院内集会では、呼びかけ4団体に呼応して賛同する、被災地で子どもの支援を続けているNGO/NPOなど15団体ほか、市民、自治体議員、国会議員など約100人が参加。厚生労働省、文部科学省など国の担当者を招いて、情報交換や質疑、意見交換が行われた。
冒頭、ネットワークの事務局を担う子どもの権利条約総合研究所の森田明美さんは、「未曾有の大震災、続く原発事故という惨状に、多様な形で被災者支援・復興支援が取り組まれ、それぞれの団体ができる限りの取り組みをされている。しかし、現状ではなお、子どもの視点からの支援には大きな課題もあり、子ども支援の新たなネットワークが必要とされている」。同事務局の荒牧重人さんは、「私たち、子ども支援ネットワークは、国連・児童(子ども)の権利条約の趣旨・規定に基づき、「差別の禁止」、「子どもの最善の利益確保」、「生命・成長の保障」など子どもの権利を基盤とした、なにより「子どもの意見の尊重」を大切にした被災地(者)支援・復興支援に、その制度提案も含めて粘り強く取り組んでいきたい」と発言。
呼びかけ4団体は、岩手・宮城・福島及び周辺地域の被災地の子どもの置かれている現状と求められる支援について、▼犠牲・被災の子どもや子育て家庭は非常に多いにもかかわらず、被害は現在進行中であり、その実態の把握が遅れ必要な状態にふさわしい取り組みや支援の提供が充分になされているとは言いがたいこと。原発事故による放射線汚染は子どもにとってより深刻な問題であること▼さまざまな支援が始まっているものの、子どもの声が充分に聴けていないのが現状であり、子どもが意見を出せるような状況にない。支援・復興においては、当事者である子どもの意見を聴き、子どもたちも参加して推進することが必要で、そのためには安心・安全な子どもの居場所の確保、遊びや学びの保障をはじめとする条件整備や支援が不可欠であること▼子ども支援を中心にしたNPO・NGOやボランティアの取り組みが多様に展開されているが、その連携は部分的にとどまっている。被災者支援・被災地復興は緊急的な対応にとどまらず、中長期にわたって必要であること▼障がいのある子ども、病気の子ども、施設で生活している子ども、多文化の子ども、引きこもりや不登校の子ども、あるいは少年院等に収容されていた子どもなど特別な配慮や支援が必要な子どもの視点を忘れてはならないこと——などとし、この日の会合を機に取り組みを本格化する構えだ。
情報・意見交換では、NGO/NPOのメンバーが被災地の状況を報告。ランドセルや学用品などを贈る活動や、子どもの声を傾聴するチャイルドラインの活動、被災地で子どもの遊びを支援する活動などから見えてきた、子どものこころのケアの不足と必要性が事例とともに語られた。また、両親を亡くした震災孤児の数について厚生労働省が155人(25日現在)に上っていると報告したのに対し、宮城県で震災遺児をサポートする活動を進めてきたNPOからは「独り親になった家庭の子どもについては調査が進んでいない、実態の把握と必要な支援を」との要望が出された。会場や国会議員からも、「子どもの視点からの支援がもっと必要だ」「放射能に曝されている子どもたちを受け入れる活動を広げたい」「学校に比べ幼児が生活する保育所の耐震補強が遅れている」といった声が相次いだ。
同ネットワークは、現地での支援活動に加え、被災した子どもによる「子ども100人記者」などの活動を通して被災地の子どもたちの声を集め、市民社会や政府、国会議員などに現状を伝え、子どもに寄り添った制度提案を進め、復興支援につなげていくことにしている。
■賛同参加などの問い合わせ先は—
子どもの権利条約総合研究所・東洋大学分室(森田明美研究室:東洋大学白山校舎2号館608号室)E-mail: morita@toyo.jp TEL 03-3945-7481 FAX 03-3945-7626
■同ネットワーク・スペシャルアドバーザー
明橋大二(精神科医、スクールカウンセラー)/尾木直樹(教育評論家、法政大学教授)/坪井節子(弁護士)(敬称略50音順)
<文責 東京・生活者ネットワーク広報室 加藤千鶴子>