どうする?! 都市型洪水
対策一辺倒から、雨水の地下浸透のあるまちへ
都内の河川・下水道施設は1時間に50ミリまでの降雨を前提に整備されていますが、 最近の局地的な集中豪雨はそれを超えることも多く、 短時間に大量の雨水が河川や下水管に集まり逆流する 「都市型洪水」 が多発しています。 中野区・杉並区で6000棟に及ぶ浸水被害をもたらした2005年の集中豪雨が記憶に新しい都市型洪水。 妙正寺川・善福寺川の被害地域は国の 「河川激甚災害対策特別緊急事業」 に指定され、09年を目途に取水施設、 護岸整備、 調節池などの工事が進められています。
東京都は07年8月、豪雨対策基本方針を策定し、河川整備・下水道整備に加え、 都民が居住地の水害特性を知り 「自助」 による対策を促すための情報提供、 各種対策の義務化と助成制度の拡充などを方針化しました。 また「対策促進エリア」 を決め、 1時間55ミリまでの降雨を前提に浸水被害を防ぐための下水道管・調節池の整備、 中小河川の護岸を広げる改修などを掲げ10年後を目途に進めようとしています。 長期的には1時間60〜75ミリの降雨にも耐えうる家・まちづくりも視野に入れるとしていますが、 無秩序な都市化を放置したまま太い下水管を埋設し続けることで都市型洪水は回避できるのでしょうか。
生活者ネットはまず、 雨水を浸透させる舗装道路、 家庭での雨水浸透ます設置、 住宅地・駐車場の無舗装化や校庭などの地下に埋設する雨水貯留槽、 家庭に設置する雨水貯留タンクなどの対策を進め、 降雨時であっても雨水が一気に下水管や河川に流入しないようにすることがもっとも重要であると考えています。 雨水浸透ます設置率世界一の小金井市や、 町中にタンクを置いて集中豪雨のときには一時的に雨水を溜め、 渇水時には生活用水にも利用できる雨水貯留タンクを奨励する墨田区などに倣い、 「浸透」 と 「貯留」 を進める誘導策が優先されるよう求めています。
都市型豪雨の発生要因としてヒートアイランド現象と海風が大きく影響していることは疑いようがない今、 人間の営みがつくりだした気候・気象の解消をこそ急がなければなりません。 ドイツ発祥の 「風の道」 計画をもっと取り入れ、 風と水、 風と緑でまちを冷やすなど、 都市計画のあり方を根本からとらえ直すときがきています。