身近で生産された農産物を学校給食に
東京都が実施した「食生活と食育に関する世論調査」からは、 食の安全や食育推進策に求めたい数々の要望が聞かれました。 行政が推進すべき取り組みとして、 (1)食の安全に関する情報提供の充実50%(2)地元の食材利用や生産者との交流体験をする学校給食の推進35%が、 学校に求めたい取り組みでは、 (1)調理実習84%(2)ごはん中心の給食83%(3)農作業体験82%と続きました。
近年、 給食は「食育」[※]という新たな使命を課され、 衛生面の徹底、 栄養バランスはもちろん、 アレルギーへの対応や行事食などを提供しながら、 子どもたちが楽しく、 おいしく、 安全に食べられる工夫を求められています。 食の安心・安全を求める狛江市民や狛江・生活者ネットワークの運動が実を結び、 狛江市では2001年「学校給食物資規格表」の取り組みが実現。 食材はできる限り国産を使う、 遺伝子組み換え作物は使用しないなどを明文化しており、さらに狛江・生活者ネットは、小学校給食のパンを国内産小麦使用へと切り替えるよう求めています。 同様に学校給食食材の安全対策に取り組んできた日野市では、 08年8月「日野市食育推進計画」を策定。 学校給食での日野産野菜利用率を15%から25%へ高めることが明確に掲げられ、 地元営農者との連携が図られています。
東京・生活者ネットワークは、 身近で生産された農産物を学校給食に利用するこのような自治体の取り組みを応援し、 地域で作り手・食べ手の顔が見える都市農業の推進をめざしています。
※ 2005年6月、食育を「知育・徳育・体育の基礎」と位置づけ、「生涯にわたり健全な食生活の実現に努め、食育の推進に寄与するよう努める」と、国民の責務にいたるまでを定めた食育基本法が成立。私生活における食事という、きわめて日常的な個人の領域に法律がふみ込むことへの疑義は拭えず、賛否の分かれる問題をはらんでいる法制といえる。法の施行を受け、東京都も「推進計画」を発表。学校給食を食育推進の重要な場と位置づけている。