環境優先のまちづくりは東京から
今年度から都庁内の予算編成方法が変わります。 知事主導で予算案を作成するため、まず「重要施策」を各局から提案させ、知事本部で取り上げるものを選定する方向です。 一般論としては知事の顔が見える予算編成は悪いことではありませんが、 その中身には大きな問題があります。
各局要求は188事業で、 総額5444億円です。 重要施策のテーマは 「首都東京を再生し、 都民生活の不安を解消するために真に必要な事業」 とあり、 重要施策に決まれば、 予算額を圧縮するシーリングの枠外となります。 提案された施策を局別にみると、 建設局が2385億円ととび抜けて多く、 次いで都市計画局719億円、 港湾局446億円等、 インフラ関係の局が上位を占めています。
都は、 国の進める都市再生に全面協力なのですが、 都市再生は都民生活の改善というような視点で考えられているわけではなく、 景気浮揚の公共事業という小泉内閣が否定したはずの政策だという面が強いのです。 もちろん再生策の中には、 防災や循環型社会のほか、 保育所待機児童の解消など、 国も都も協力して進めなければならない施策もあるのですが、 それらを隠れみのに従来型の公共事業がズラリと並んでいることには注意が必要です。
特に、 9月20日までに国が出した具体的政策では、 環境アセスメントも不十分な道路事業を進めようとする無展望、 無定見さが明らかになっています。 にもかかわらず都もそれに便乗して、 3つの環状道路(首都高速中央環状線、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡自動車道)の整備促進、 環8や環6など骨格幹線道路の渋滞解消事業を重点施策としようとしています。
道路整備を含めて交通体系を考えるには、 鉄道・バスなど公共交通を優先させ、 徒歩・自転車の利便性や快適性を高めることがまず必要です。 また、 大気汚染・騒音・振動などに関する環境基準の遵守が不可欠で、 十分な環境アセスや計画内容についての住民との合意形成が必要です。
緑地や農地の保全、 せせらぎの回復、 きれいな空気、 静かな環境の形成、 さらに美しいデザインの町並みの形成などを考慮せず、 道路整備に走る石原知事の発想は時代に逆行したものです。 生活者ネットワークでは、 環境保全、 さらに都民参加の合意形成を進める都市再生となるよう予算編成に独自の提案を出していきます。