多様な人々と文化が共生する時代をつくろう

 9月11日に発生した同時多発テロ事件に関して、私たち束京・生活者ネットワークは9月27日付で、「テロを生む構造を変えることが日本の役割」と題する見解を発表いたしました。その中で私たちは、アメリカが行おうとしている「報復戦争」は世界を暴力と憎しみの果てしない応酬の連鎖に引き入れるものであり、テロ行為者は国際法廷の場で犯罪者として裁かれるべきこと、従って日本政府は拙速な軍事支援を打ち出し「評価」を受けようとするのではなく、テロを生む構造自体を変えていく役割を担うべきであると、主張いたしました。

 しかしながら私たちの願いに反して10月16日、テロに対する米国の軍事作戦を支援する「テロ対策特別措置法案」が衆院の特別委員会で可決されました。自衛隊はどんな武器を持ちどこに派遣されるのか、明確な答えはないままに33時間のスビード審議でした。私たちは後方支援と称しての目衛隊派遣に反対してきましたが、最低条件である国会での事前承認も、与党内部での駆け引きの中で実現しなかったことに強い憤りを禁じ得ません。そして昨日テロ対策特別措置法など関連3法が参議院本会議で可決・成立しました。この新法により海外の戦闘地域周辺への自衛隊派遣が可能になり、日本の安全保障政策は大きな転機を迎えます。
 一方、ついにアメリカは地上戦を開始しました。これまでのベトナム戦争や湾岸戦争と同様な手法で大国の力を振りかざして戦争を拡大し始めています。今、私たちが思い起こさなければならないことは、米国が武力の行使をいくら軍事施設に限定するとしても一般市民の犠性者を避けることはできず、既に500万人を超えるといわれる難民に加えて新たに数百万人の難民・餓死者を生み出すことは必至であるということです。現地に滞在する日本のNGOから、その状況とそれに対する日本からの支援を求のるメッセージがインターネットを通じて届いています。

 東京・生活者ネットワークは、国家間の安全保障システムに替わる市民・自治体レペルの共生と、国家の枠組みを超えて協力しあう仕組みが必要と考え、政策化してきました。
70年代の長い内戦で疲弊したカンポジアでは、日本も含む各国の努力で93年平和への道を歩み始めました。この時、平和な国づくりに貢献したのは各国政府よりも世界各地から集まったNGOによる地雷除去、識字教育、医療援助、文化保護にまで帽広く行われた援助活動でした。
 私たちは、軍隊によるカの鎮圧よりも、NGOの活勣の方が身近で役にたつという経験を生かして、戦争の世紀と言われた20世紀に代って、多様な人々と文化か平和に共存する世紀をつくりだすことが必要だと考えます。
 今こそ、市民一人ひとりが世界平和のための活動を始める時です。

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