2006年第四回都議会定例会を終えて

高校の未履修問題やいじめ自殺予告電話などが大きく報道され、国会では教育基本法改正が審議される過程での「やらせのタウンミーティング」など、子どもを取り巻く問題が今大きな社会問題であることが誰の目にも明らかになってくるなかで、第4回定例会が開催されました。しかし、東京都教育委員会は、いじめ防止対策、エイズ予防対策、履修問題、どれをとっても、子どもたちの立場に立った根本的な対策は不十分であり、相変わらず管理強化ばかりが目立っています。いじめは大人社会の縮図でもありますが、少子化社会の今だからこそ、子どもの権利を真に理解し、守る立場に立って、根本的ないじめ未然防止対策と、総合的な子ども施策に、十分な予算措置を行い、全庁上げて取り組むことを強く求めるものです。
今定例会に上程された議案の中で、「認定子ども園」については就学前の子どもを親の就労の有無に関わらず、地域全体で育てるための第一歩と捉えますが、施策体系が幼稚園・保育園の2本立てで所管する省庁が異なるため、一体化した場合でも、基準の整合性や事務処理の煩雑さなどが課題であり、さらに直接契約が保育にも広がることによって、支援が必要とされる家庭や子どもが排除されないための配慮や保育料設定への公の関与などを要望するとともに、東京の特徴である3歳未満の保育待機児解消には別途取り組みの強化が必要であると考えます。
臨海三セクの再建計画については、金融機関の不良債権処理が進み、体力がついてきたこと、都の税収も好調になったことを背景に、臨海三セクの民事再生法による再建計画が提案され、かなりの負担は伴うものの、小規模の債権者は救済されることでもあり、やむなしと判断しました。これを機に東京都がかかわってきた臨海事業を、民に委ねていく道筋を都民に示すべきです。
鈴木知事が都市博を使って臨海副都心計画を推し進めようとしたのと同じ構造をもって、石原知事はオリンピック招致を臨海事業の展開に利用しようとしています。2週間のイベントに多額の税金を費やして東京の力を世界に示すコンセプトこそ時代錯誤と言わざるを得ません。
知事は今定例会で立候補を正式に表明しましたが、ここに来て知事の肝いりで始まったワンダーサイトや新銀行などの、大きな問題が表面化してきました。さらに知事四男への不明朗な公費支出など、ファミリー都政の様相が強まり、権力者にありがちな末期的な症状を呈しています。
生活者ネットワークは、石原都政2期8年を見たときに、このままのトップダウンでは新たな時代の市民主権に立ったまちづくりは望めないと判断しました。
少子高齢化や人口減少社会の時代にむけて、長期的な視点で、生活する都民の立場に立った都政運営が求められており、新たな時代に相応しい公共の構築をともに作っていける、新知事誕生にむけて力を尽くしてまいります。
 生活者ネット幹事長・大西由紀子
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