2016年第3回定例都議会を終えて
2016年10月13日
都議会生活者ネットワーク
幹事長 西崎 光子
本日、第3回定例会が閉会しました。
小池都知事が誕生し初めての議会となりましたが、一連の豊洲問題で都政は大きく揺れ、都庁の対応のひどさに、都政への信頼は地に落ちてしまいました。
豊洲新市場の盛り土問題の発覚や、地下水モニタリングで環境基準を超える有害物質の検出によって、生鮮食料品を取り扱う市場の安全性が根底から覆される事態となりました。
豊洲は東京ガス工場跡地で、環境基準の最大4万倍を超えるベンゼンが検出された汚染土壌であり、そもそも汚染のひどい豊洲に中央卸売市場を建てること自体に無理がありましたが、汚染除去と盛り土で土壌汚染対策に万全を期すことを条件に移転計画が進められてきた経緯があります。盛り土がないということは、対策の前提条件さえ備えておらず、安全性の議論をもう一度やり直さなければなりません。
環境アセスメントでも、評価書に重大な虚偽記載があったにもかかわらず、これから変更届を提出するだけで済むというのは、何の歯止めにもならない環境アセスのしくみにも問題があります。このままでは、築地市場を豊洲に移転することは到底容認できません。
議会においては、経済・港湾委員会で豊洲問題について2日間にわたって集中審議が行われました。地下空間を設計事務所や技術会議が提案したという虚偽の報告で責任逃れを図ったことが判明、都庁の嘘と責任転嫁、隠ぺい体質が露呈しました。しかし、行政自らがすべてを明らかにする気もなく、真相の究明には遠く及ばず、都政への信頼はさらに失墜しています。情報を隠すことで、誰が何を守ろうとしているのか、責任の所在もはっきりしないままです。
超党派で設置された特別委員会で、これまでの関係者を含めて参考人を招致するなど、今回の問題を解明し、安全性を検証していく必要があります。
都議会生活者ネットワークは、八ッ場ダムの事業費増額の同意議案に反対しました。今回の基本計画変更は5回目であり、事業費が最初の2.5倍以上の5320億円と膨れ上がりました。国土交通省は、増額要因の中に、基礎岩盤が当初想定と違ったことを理由にしていますが、これは計画のずさんさを改めて浮き彫りにしました。さらに、八ッ場ダム予定地は、多数の地すべり地に囲まれており、今後さらなる工期の延長や増額が予想されています。しかし、都は、国からの説明に唯々諾々と従い、委員会質疑の答弁も不誠実で、構想から60年以上経っても完成できないことからも、八ッ場ダムが必要ないことは明白です。
補正予算案は、待ったなしの待機児童対策を盛り込んだものです。多くの待機児を抱える自治体がいちばん困っているのは、用地の確保です。学校用地の一部を使うなども含めて、各局所有の土地を洗い出し、区市町村に情報提供、周知することを改めて求めました。
緊急対策が迫られていますが、保育園を増やし受け入れ人数を増やすだけでなく、保育の質の確保も重要です。保育事業の主体である自治体と連携し、自治体が取り組みやすい運用を要望しました。
小池知事は所信表明で、「東京大改革」を掲げました。膨れ上がるオリンピック・パラリンピック予算についても検証し、公共事業の見直しを都民ファーストの視点で進めていくことを期待しています。
そして、「東京大改革」を推進する肝は「都政の透明化、つまり、見える化、わかる化の徹底」であるとしています。そのためには、情報公開の推進とその基盤となる公文書管理のあり方が重要です。
例えば、豊洲の一連の問題において「自己検証報告書」という内部調査では、「誰が、いつ、どこで何を決めたのか」さえ解明することができない事態となっています。組織的に使われたメモなどを公文書として管理し公開すれば、責任の所在もより明らかになるはずです。今回の不祥事を二度と起こさないためにも、公文書の範囲を広げ、保存期間やアクセスのしやすさを改善し、「のり弁」と言われる黒塗りの文書をもっと開示するなどの改善が必要です。「行政情報は市民のもの」という意識のもとに、公文書を管理し情報公開を進めるよう要望しました。
知事報酬を半減する議案は、知事の決意と政治姿勢を示すものとして尊重し賛成しました。一方、都議会では、費用弁償についての条例提案が継続審議のまま議会のあり方検討会で議論されることになりましたが、都議会議員の任期は残り1年を切りました。費用弁償については期限を切って賛否をとるとともに、海外調査のあり方や公用車の使い方など議会改革についても、残りの任期の中でしっかり結論を出していくことを求めました。
豊洲やオリンピック・パラリンピックの問題だけでなく、都政の課題は山積しています。誰もが安心して暮らせる持続可能な社会づくりに向けて、都議会生活者ネットワークは全力で取り組んでいきます。