マイナンバー制度はいらない―第3回定例都議会から―
2015年10月8日
都議会生活者ネットワーク
幹事長 西崎 光子
本日、第3回定例会が終わりました。都議会生活者ネットワークは、マイナンバー制度導入のための条例に反対しました。
マイナンバー制度は、12桁の個人番号を振り当て、行政手続きのさまざまな場面で活用しようとするシステムですが、個人情報が流出しプライバシーが侵害されるのでは、という危惧が広がっています。実際、共通番号制度の導入先進国であるアメリカでは、なりすまし詐欺に悪用される事件が多発しており、韓国では昨年、共通番号や個人情報が大量流出し社会を揺るがしました。日本でも年金情報が流出する事態が起きています。
各自治体では実際に事務作業を担うためこの制度の運用準備に右往左往しており、国からの補助金では経費がまかないきれないという声も出ています。個人情報の管理体制の未熟なわが国において、このような制度を導入することには賛成できず、反対しました。
貧困や虐待などで社会的養護を必要とする子どもたちにとって最も望ましいのは、家庭的な環境で育つことです。里親委託を増やす支援策として、育児休業を里親にも認めることが必要であり、まずは、東京都の職員が里親になることができるよう、都は率先して労働環境の整備に取り組むことを要望しました。児童養護施設を退所した子どもへのアフターケアについても、都が空き家を借り上げ、NPOなどに運営を委託して安価な住居として提供するなど、若者の自立のために必要な支援策のさらなる強化を求めました。
日本の子どもの貧困状況はきわめて厳しく、特にひとり親世帯の子どもの貧困率はOECD加盟国中最下位という状況です。都は、子どもの貧困の撲滅を重要な政策の一つとして位置づけるべきです。そのためにはまず実態把握が不可欠であり、実態調査をするよう強く要望しました。
いま、PCBなどの有害物質を引き寄せるマイクロプラスチックによる海洋汚染や、それを鳥や魚が食べることによる生態系への影響が深刻な問題になっています。さらに、化粧品や歯磨き粉などに含まれる非常に微細なマイクロビーズは、下水道でも処理できないことから、アメリカでは規制が始まっていますが、日本ではまだ何の対策もとられていません。今年6月のG7サミットでも「海ごみ問題」の対策が盛り込まれ、改めてプラスチックごみの削減が求められています。多摩地域では各自治体の努力によって削減が進んでおり、23区でもプラスチックの発生抑制やさらなる分別・リサイクルが必要です。都から自治体への積極的な働きかけを要望しました。
昨年、都議会本会議でのセクハラ発言が社会的に大問題となり、自治体議会における性差別の実態を洗い出して議会のあり方を見直そうという全国規模の動きに発展しました。こうした中で、議会のあり方検討会がようやく設置されましたが、全会派がメンバーとならなかったことは残念です。都議会の議会改革は、全国から注目されており、定数の是正だけではなく、費用弁償の見直しなど、少数会派の意見も反映させることや、都民にできる限り情報公開するなど、民意を反映し開かれた議会へと改革することを求めました。
都議会生活者ネットワークは、環境と福祉を優先した持続可能なまちづくりに向けて、生活者の声を都政に届けてまいります。皆様からのご提案をお待ちしております。