原発事故子ども・被災者支援法「基本方針」案に意見提出

東京・生活者ネットワークは復興庁が公表した「基本方針」案に対するパブリックコメントに、以下のような意見を提出しました。

東京・生活者ネットワーク代表 西崎光子

復興庁は「原発事故子ども・被災者生活支援法」の基本方針案をまとめ、翌30日これを公表しました。しかし、示された基本方針案は、被災者一人ひとりが、居住・避難・帰還のいずれを選択した場合においても、自らの意思によって生活再建にむかうことができるよう権利を保障し、支援する「原発事故子ども・被災者生活支援法」の目的・理念には程遠いものです。また「基本方針に関する施策のとりまとめ案」の内容も、見直しが求められていた「被災者支援パッケージ」の域を出ず、その多くは既存の施策を組み替え再構成したに過ぎず、支援法の目的・理念とは遠いものと言わざるを得ません。 

「支援対象地域」においても、線量基準は特定されず対象地域は福島県内の33市町村に限られました。また、法の第1条が求める「被災者」の定義に基づき「準支援区域」を設定していますが、これも「施策に関する基本的な事項」で定める個別施策ごとに支援対象とするという具体策の見えないものとなっています。被災地の子ども支援団体や、全国各地で原発事故の被災者を支援してきた市民団体などは、被曝線量基準を、国際基準、国内法令で定める「年間1mSv」とし、それ以上の地域を支援の対象とするよう求めてきましたが、結局この要望は生かされていません。法の根幹をなす「一定の基準」以上の地域を支援対象地域として設定するのでなければ、被災者の居住・避難の権利を確立、保障することはできません。

さらには「福島避難者帰還等就業支援事業」にある「帰還」を促すような施策が各所で展開されていますが、「避難」に対する新たな施策はありません。また「政府指示の避難区域からの避難者」への就労支援策拡充がありますが、ここでも避難の権利は保障されず、就労支援の強化とはなっていません。放射線対策、医療・健康管理分野では、市民が切実に求めていた低線量被曝による幅広い疾病の可能性への対応は不十分なままです。福島近隣県を含めた健康管理に関する支援においても、そのあり方を検討するための有識者会議を開催すると書かれていますが具体策には言及していません。 

政府、復興庁は被災地に居住する人や各地で避難生活を送っている被災者と双方向の意見交換の場を設定し、施策の充実にむけるべきです。以下、要望します。

1.基本方針案に被災者の声を実質的に反映するために公聴会を開催してください。

2.最も重要な「避難の権利」を保障する避難者支援策を盛り込んでください。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次