日韓市民社会の役割

日韓市民社会フォーラム2003
北東アジアの平和構築に向けた日韓市民社会の役割

日韓両国のさまざまな分野のリーダーたちが政治と市民の関係をテーマに交流する、“日韓市民社会フォーラム2003”が、前年のソウルに続き、2003年11月20日〜22日の3日間、代々木の青少年オリンピックセンターで開催された。
日本側は、市民の政治参加を進める「市民立法機構」を始め、「市民運動全国センター」「東京・生活者ネットワーク」「神奈川ネットワーク運動」などの団体や、自治体関係者、研究者など。韓国からは、市民・主婦層・大学生などを対象に市民運動を展開している「地球村分かち合い運動」や、「韓国女性政治研究所」「緑色消費者連帯」、学者、研究者などが参加した。
日韓の友好関係はこれまでになく平和な関係、近しい関係を築きつつある。一方、北朝鮮と日本の関係は、初の首脳会談の実現にもかかわらず、日本人拉致の事実と核開発疑惑、過熱するマスコミ報道などにより、むしろ北朝鮮への不信感や悪感情を日本の市民に植えつける結果となっており、日米同盟を軸とする日本政府は北への圧力を強めつつある。この間韓国の市民は、北朝鮮への太陽政策を掲げた新大統領を誕生させ、北の核開発においても対話を重視した政策をとっている。
フォーラムでは、日韓両国政府の北朝鮮への対応は対照的ではあるものの、イラク情勢を含め危機の只中にある一連の事態に対し、韓国、日本の市民社会が協力して、北東アジアの平和と安定に寄与することを共通の目的に議論が交わされた。過去をみつめ、ともに新しい未来を切り拓くために、多文化共生の取り組みを進め、双方の市民社会がその知恵と経験を交換し、豊かで開かれた社会の構築と、市民がコントロールできる「市民政府」の実現に努力を惜しまないことを訴える決議文を採択しフォーラムの幕を閉じた。

オプション企画 NGOツアー
東京・生活者ネットワークは日韓市民社会フォーラムのオプション企画「NGOツアー」の受入れ団体となり、各方面で活躍しているNPO団体とともに韓国からの参加者と交流を行いました。

日韓市民交流の場が実現!
通訳をお願いした朴姫淑さん(東京大学大学院)よりの寄稿

交流の場は韓国、日本の両参加者とも非常に楽しそうだった。互いに知りたいことがたくさんあり、どんなに長く話しても終わらなそうに感じられた。
日本と韓国とは、歴史問題、北朝鮮問題などいまだに複雑な問題を抱えている。そうした問題は、政府だけの問題ではなく「安全保障」という共通の問題として、市民社会の中でも議論するべきだ。政府間外交とは異なる新しい視点や関係を作り出すことができるかが、市民社会の交流の可能性である。両者の「文化的差異」とか「特殊性」という解釈ではなく、「共通の課題」を見つけ、「共通の企画」を立てるほどの関係を、市民社会のなかで作るには大変な時間と根気・努力が必要だが、これからも具体的なより小さな交流の場が日常的に設けられることを期待したい。

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