都国籍条項訴訟について

制限撤廃のブレーキとなることを危惧

 東京都が日本国籍を持たない職員の管理職試験の受験を拒否したことの是非を巡り、10年余りにわたって争われた「都国籍条項訴訟」で、最高裁は1月26 日、「都の措置は合憲」という判決を下しました。
 国籍条項について地方公務員法には明文規定はないものの、1953年に出された「公権力の行使や公の意志決定などに携わる公務員は、日本国民であることが当然の法理」という政府見解が、自治体の判断基準として引き継がれてきました。
 しかし、1970年代以降、在日韓国人・朝鮮人の特別永住者が多く住む地域などで国籍条項の撤廃を求める運動が盛り上がり、採用時の制限をなくす自治体が増えてきました。さらに川崎市などでは「当然の法理」に抵触しないよう知恵をしぼり、決裁権限のない管理職への昇任も可能にしています。これらの事例を参考にシステムを作ろうとしていた自治体も多く、今回の判決が、その動きにブレーキをかけることを危惧します。
 東京は今外国人登録をしている人が35万5000人あまり、中でも中国籍は12万人、韓国・朝鮮籍は10万人と多く、国内で世代を重ねる特別永住者の権利の問題も放置できない課題です。
 東京・生活者ネットワークは、「外国人も都民です」として外国人会議の常設を提案し、留学生が直面している課題を解決するために、「市民と行政の協議会」を開催したばかりです。
 戦後60年を経て、政治・社会の構造も大きく変化し、日本は国際社会に対応できる国としてその役割を期待されています。まずは地域から共に生活する仲間として外国人の方々も力が発揮できる社会づくりに取り組んでいく必要があります。
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