環境中の化学物質 早急に子どもへの具体的対応を

 2月24日、「小児等の環境保健に関する国際シンポジウム」が、環境省の主催により開催されました(港区三田)。研究者、行政担当者のほか、子どもの保健指導に携わる人や市民、市民活動団体などが参集。国内外で行われている子どもの健康と化学物質に関する調査研究状況などを共有するとともに、今後、望まれる対策について議論する場となりました。
 シンポジウムでは、スウェーデンで行われた約3万人規模の国民調査、ドイツで取り組まれた健康リスク調査や、米国環境保護庁からは小児のライフステージ毎に行う化学物質暴露評価の状況などが報告されました。日本からは、国立精神・神経センター神経研究所の高坂新一さんが登壇。化学物質が神経系へ与えるダメージの実際と有害性評価のあり方を提起しました。国内の実施事例では、東京都環境局から『化学物質の子どもガイドライン』の取り組みを有害化学物質対策課長池田茂さんが報告。このガイドラインは小児への化学物質への対応の必要性を早くから提案してきた生活者ネットワークの政策が実現したものです。都は 02年7月以来、現在までに、鉛の子どもへの暴露量の推計をもとに策定された『塗料編』、子どもが一日の大半を過ごす保育・学校施設などで起きているシックスクールを防止する目的でつくられた『室内空気編』、汚染された樹木や土壌からの影響を考慮する『殺虫剤樹木散布編』、食事と化学物質、合成樹脂食器の問題点を明らかにする『食事編』を作成。予防対策の緒に就いたところです。生活者ネットワークは、「ガイドライン対象物質のさらなる特定」や「暴露評価の推進」、「化学物質リスクコミュニケーションの促進」などを、都に継続して働きかけています。
 世界で幅広く使用されている化学物質と子どもの環境管理に関する問題は、先進8か国環境大臣サミットにおいても優先課題として認識されており(97年マイアミ宣言)、欧米では、この分野のリスク管理の研究が進展しつつあります。国内においても、化学物質の感受性や暴露経過、暴露量などが成人と異なる小児の調査研究を急ぎ、さまざまな意思決定の際に「小児に対する健康リスク評価」が一定基準のもとに行われるよう、子どもと化学物質に係る法整備や政策対応を具体化するべきです。
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