緑と水の力を生かしたまちづくり
記録的雨量により、ゲリラ豪雨とも言われた今年8月の局所的な集中豪雨により、豊島区では下水道で工事中の作業員の命が犠牲になりました。この都市型集中豪雨は、地面近くの暖かい空気が上空にのぼって積乱雲を発達させ、激しい雨を降らせるもので、都市の気温が上がる「ヒートアイランド現象」の影響があると考えられています。
東京都は都市型水害の対策として、神田川流域での大規模な地下調節池の整備や、川を拡幅する護岸整備、調節池や分水路の整備、下水道施設で1時間に50ミリメートルの降雨に対応する幹線やポンプ所などの基幹施設の増強を進めています。
しかし、貯水池や護岸工事のような大規模な建設事業にお金をかける一方で、都市型水害のそもそもの原因であるヒートアイランド現象を防ぐための対策や、雨水浸透に対する取り組みには一向に進んでいません。
生活者ネットワークでは、今年の夏も地域の川に清流を取り戻そうと、各地域で水辺の調査活動を行なってきました。その中で、あたり前のようですが、森と川、そして海はひとつながりで、水循環の再生には緑の再生も欠かせないことを改めて感じました。森は自然のダムです。宅地化が進み、里山や農地が減ってしまったことで、雨が降るとアスファルトやコンクリートに覆われた地面には吸収されることなく一気に大量に川や下水に流れ込み、洪水を引き起こしています。
生活者ネットワークは、この夏の教訓をもとに、森−里山−公園−農地−緑道などをつなげた緑のネットワークをつくり、潤いのある水辺を取り戻しながら、護岸工事だけに頼らない治水を行なうこと、そして宅地などに対する雨水浸透の支援、また、ヒートアイランド現象を防ぐ風の道などに配慮したまちづくりをすすめる政策の実現に向けてさらに活動を充実させていきます。
東京・生活者ネットワーク
広報委員 平岡晴子