脱原発、気候危機回避への道筋を断ち切る第7次エネルギー基本計画に抗議する

2025年2月21日

東京・生活者ネットワーク

218日、エネルギー基本計画の変更が閣議決定された。この第7次エネルギー計画には、これまでかろうじて維持されてきた「原発依存度を低減していく」方向性を完全に放棄するもので、東京・生活者ネットワークは、これに強く抗議する。

 

エネルギー基本計画は、東日本大震災での福島第一原子力発電所の事故を受けて、第6次計画までは「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」の文言が明記されていた。しかし、7次計画では、この文言が完全に削除され、原子力発電について「必要な規模を持続的に活用していく」とするなど、原発回帰の方針を明確に打ち出している。自公政権は、計画見直しを待たずして、202212月のGX実行会議において、「原子力発電所の運転期間40年最長60年原則」の変更と次世代型原発新設方針を正式決定とする暴挙に出ており、生活者ネットワークは、国民無視の政策大転換であるとして撤回を求める声明を発表した。この一方的な政府判断による既定路線を固めることになる第7次計画を到底容認することはできない。

計画では、6次計画以降の状況変化として、紛争による国際状況の変化やDX・GXの進展に伴う電力需要増加の可能性を強く押し出し、政策根拠としているが、データの積み重ねによる具体的提示を国民に対して行っていない。特に、データセンターによる電力需要増については、省エネや再エネ利用について言及はあるものの、省エネによる電力需要削減効果の試算や全体需要量における影響への解説はない。

2050年カーボンニュートラルに向けては、脱炭素電源として再生可能エネルギーに次ぎ、原子力発電を「優れた安定供給と技術自給率を有する自律的電源」と位置付け、前述のデータセンターに関連して、「脱炭素電源が成長の制約要因にならないように」という理由で、次世代革新炉への投資拡大を進めることが記載されている。本来であれば、温室効果ガス排出予測を含む環境影響を地域に説明するしくみの構築や総量規制の検討など、あらたなデジタル社会をどう形成していくかを市民的対話の中で積み上げていくべきであるが、課題解決を原子力活用ありきで強引に押し通す計画となっている。

しかし、福島第一原発の廃炉や六ケ所再処理工場・MOX燃料工場の技術完成や核廃棄物の最終処理問題もままならない現状の中では、持続可能な主要電源として位置付けるのは非現実的である。また、原発コストが高く経済合理性にも欠けることは国際的な定説である。

併せて、脱化石燃料として、計画の中で重視されている水素・アンモニア混焼やCCSは実質的な有効性は少なく、カーボンニュートラルの実現には近づかない。

 

東京・生活者ネットワークは、地域における分散型再生可能エネルギー創出や蓄電の拡大に向けた技術開発や投資、送電ネットワーク構築を優先とする政策により原発ゼロ社会の実現をめざす。第7次計画はそのプロセスからは大きく逆行する。

また、第7次計画については241227日からの1カ月間パブリックコメントが実施され、41421件の意見が寄せられた。パブコメ結果が公表された217日の翌日に計画が閣議決定されたという事実は、国民の意見をもとに再検討をする意思が全くないことを示しており、合意形成のプロセスについても抗議するものである。

東京・生活者ネットワーク「国民無視の原発政策大転換は撤回を!」20221228日)

春と秋に市民団体主催で開催される「さようなら原発全国集会」に、生活者ネットワークメンバーも参加。2024年9月16日

 

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