外務省の女性差別撤廃委員会への対応に抗議の声をあげよう!
日本政府は国連人権高等弁務官事務所へ毎年、拠出金を出しています。その使途から女性差別撤廃委員会を除くよう同事務所に伝えたことを、外務省が1月29日に明らかにしました。さらに予定されていた同委員会の訪日プログラムも中止するとしていています。
これは同委員会が昨年10月に8年ぶりに行った第9回日本政府審査において、「男系男子」の皇位継承を定めた皇室典範の改正勧告が出たことへの経済的措置です。皇室典範の改正勧告という一点をもって、女性差別撤廃の動きをシャットアウトするかのごとく同委員会との対話路線を拒絶する行為は、女性差別撤廃条約の締結国として恥ずべきものであり、強く抗議し撤回を求めます。
日本が1985年女性差別撤廃条約を批准するにあたり男女雇用均等法が制定され、また批准後も同委員会の数々の勧告により、日本のジェンダー平等施策は推進してきました。一方で、選択的夫婦別姓など度重なる勧告が出ていても進まないものもあります。勧告に法的拘束力はありませんが、条約締結国はそれを真摯に受け止め、必要な措置を講じることが求められます。
皇室典範の改正については、女性・女系天皇に賛成というのが概ねの世論です。今回、どのような意思決定を経ての措置かは明らかにされていませんが、現時点で政府が取り組むべきは、正面から国内議論を尽くし結論を出すことです。
女性差別撤廃委員会に拠出金は使わせないという圧力的なメッセージを国内外に発することは、締結した女性差別撤廃条約への背徳行為であると厳しく指摘せざるを得ません。
昨年、日本政府審査が行われたジュネーブへは、日本から100名を超える市民団体等が手弁当でかけつけています。それはひとえに、日本では遅々として進まないジェンダー平等について、女性差別撤廃委員会の委員に直接声を届けるためです。
女性差別撤廃委員会は締約国との「建設的対話」により、女性の権利獲得を推進してきた大切なパートナーです。しかし残念ながら、10月17日の審査当日の委員に対する日本政府の回答は「建設的対話」からはほど遠いもので、現状の制度説明に始終していました。そればかりか追い打ちをかけるこのような措置で対話を否定する姿勢に対し、私たち一人ひとりが声をあげていかなければ、女性差別撤廃は成し遂げられません。
以上、東京・生活者ネットワークは、日本政府の対応に抗議し国連人権高等弁務官事務所への通告の取り下げを求めます。そして各地域の生活者ネットワークを通じて、女性の人権や女性差別についての日本の状況について、市民的対話をさらに深めていきます。
写真:2024年10 月17日に行われた女性差別撤廃員会第9回日本報告審査審議の様子。(国連ウェブTVより)
※録画は国連ウェブTVで視聴することができます。
前半:https://webtv.un.org/en/asset/k11/k1134kvabm
後半:https://webtv.un.org/en/asset/k1n/k1nb3bus4d
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