2022年第3回定例会を終えて(談話)
2022年10月7日
都議会生活者ネットワーク 岩永やす代
本日第3回定例会が閉会しました。
補正予算について
コロナによる雇用不安に加えて物価高と、低所得世帯を中心に生活の厳しさは増すばかりです。円安がさらに進んでおり、物価高騰の波が収まる気配はありません。今議会の補正予算では、電力ひっ迫や物価高騰への対策と脱炭素化の推進を図る事業が盛り込まれました。
生活者ネットワークは、これまで食の安全・安心や環境保全の観点から、国内自給率の上昇、地産地消や有機農業の推進に向けて提案してきました。今回農林業に関する新規事業として、堆肥等利用促進事業や農業資材高騰緊急対策事業、国産木材流通促進緊急対策事業などが出ています。化学肥料の価格高騰に対する対策ですが、輸入化学肥料から国内産の肥料・堆肥に転換することで資源循環をはかり、環境保全型農業、エコ農産物を促進することが食の安全につながると考えます。食料も含めた輸入品の値上がりを機に、食の安全保障の観点からも自給率アップを進めることが必要です。木材についても多摩産材をはじめ国産材への転換を図る施策は重要と考えます。
電力ひっ迫とエネルギー価格高騰を理由に国が進めようとする原発政策に対して、生活者ネットワークは非常に危機感を持っています。都は、HTT・脱炭素化を強力に進めるため、この補正予算でもゼロエミ住宅など施策の拡充を盛り込んでいます。電気・ガスなどで、都民の省エネ・創エネへの関心が高まっており、企業だけでなく家庭分野でも再生可能エネルギーへの促進策になると期待するものです。
都立高校入試のスピーキングテストについて
英語スピーキングテストは、都立高校入試への活用方法が知られるにつれて反対意見が広がっています。不受験者の扱いなど問題点は解決されておらず、判定の公平性も問われています。英語で話す力を育てることは重要ですが、信頼性の薄い試験結果を高校入試に使うことはまったく違います。提案された「東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例」は、入試に使わないよう求めるものです。この間、問題点がいくら明らかになっても、教育委員会から改善する気配すら見せないため、条例に賛成しました。国は3年前、大学入試共通テストへの英語民間試験の活用について、公平性などの問題で批判が広がり、導入を見送りました。あらためて、スピーキングテストの入試活用の中止を求めます。
教員不足について
今議会でも議論された教員不足の問題は深刻です。年度当初から教員が配置できない、代替教員が確保できず長期間にわたり担任が不在になる、副校長が授業を受け持ち職務に専念できないなど、子どもの学びに影響を与える大変深刻な問題となっています。教員定数を増やし採用回数を増やすなど、抜本的な改善が必要であり、都教育委員会の責任として、市区町村への支援を強く要望しました。あわせて、欠員にならないための職場環境づくりも必要です。風通しのよい職場の雰囲気づくりや、ハラスメント防止のための研修の充実が必要です。
東京都こども基本条例が制定され1年半が経ちました。しかし残念ながら教員による体罰や不適切な指導、性暴力、わいせつ行為など、子どもの権利をまもる立場の大人が加害者となる事件が後を絶ちません。子どもが多くの時間を過ごす学校で、日々子どもに接する教職員こそ、条例を理解し、子どもの権利にもとづく対応が求められます。教職員への周知や研修など啓発の取り組みを求めました。
ユースヘルスケアについて
ユースヘルスケア相談が今月から始まりました。生活者ネットワークは、リプロダクティブヘルス/ライツの視点で、中高生の性の悩みに応えたり、正しい知識を得るための場を求めてきました。今回は都立高校10校で産婦人科医による相談を開始、また電話相談も始めたということですが、だれでも相談しやすい体制を求めていきます。
パートナーシップ宣誓制度がスタート
性的マイノリティのパートナーシップ宣誓制度が始まります。生活者ネットワークは、当事者からの意見を聞きながら求めてきた制度の一つです。証明書によって都営住宅の入居申し込みなどの行政サービスに活用できます。社会全体に理解が進むよう、広報、周知を求めていきます。
都議会生活者ネットワークは、持続可能な社会の実現に向けて、多様な人が暮らす東京を生活のまちにするため取り組んでいきます。みなさまからのご提案をお待ちしております。