検察官の定年延長を可能にする検察庁法の一部改正法案に反対 拙速な審議に抗議
検察官の定年延長を可能にする検察庁法の一部改正法案に反対
2020年5月12日
東京・生活者ネットワーク
現在衆議院内閣委員会で審議されている検察庁法改正法案は、時の内閣及び法務大臣の裁量で、63歳の役職定年の延長、65歳以降の勤務延長を行い、検察官人事に深く介入できることとなる。
今年1月、黒川検事長の定年延長が閣議決定された。野党から1981年の政府見解に基づいて検察官に国家公務員法の定年延長は適用されないことが指摘されると、安倍総理は、国家公務員法の解釈を変更したと説明したが、到底納得できるものではない。
森友・加計問題や桜をみる会などの問題を抱えることから恣意的な人事ではないかといった、様々な憶測や疑念がでていた。そのような中で、国家公務員の定年を段階的に65歳へ引き上げる国家公務員法や検察庁法などの改正案を閣議決定し、4月16日に審議入りした。検察庁法改正法案を国家公務員法改正との一括法案にし、法務委員会で審査することなく、法務大臣の出席もない内閣委員会で審議されることも到底看過できない。法案の成立は黒川検事長の定年延長の正当化にもつながる。
この法案の問題は、政府の裁量で行われる検察官人事への政治介入が、①検察の独立性、②検察官の政治的中立性、③憲法の基本原則である三権分立を揺るがす、――といった民主主義の根幹にかかわるからだ。国民の信頼を著しく損なう恐れもあり、将来に禍根を残すことになるのではないか。
また、この定年延長については「♯検察庁法改正案に抗議します」の投稿がツイッター上では12日時点で900万件に達し、市民ばかりでなく、多くの著名人も賛同し、大きなうねりとなっている。
今国民の多くが新型コロナウィルス感染症という未知の感染症に苦しみ、緊急事態宣言による自粛要請によって経済困窮に喘いでいる。自粛を要請した政府がいま全力をあげるべきは第2次補正予算やコロナ関連法案の早急な成立であり、国民の持続可能な生活補償が求められているにもかかわらず、性急にこの法案を採決する必要性がいったいどこにあるのか。この民意を受け止め、国民の不安に真摯に向き合い、コロナ関連対策に国会審議を集中させるべきである。
以上のことから、東京・生活者ネットワークは検察庁法改正法案を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対し、拙速な審議に強く抗議する。