東京都:新型コロナ感染症対策に8000億円——感染拡大防止とともに、命と生活=医・食・住=の支援拡充を急げ!

東京2020大会延期決定直後の翌3月25日、緊急会見で外出自粛要請

小池知事は、東京2020大会延期決定の翌3月25日、緊急会見を開き「感染爆発の重大局面」と表明、週末の外出自粛や自宅勤務を要請した。都民の間に不安が一気に広がり食料品の買いだめに走る姿が報道された。1月末から日本でも感染者が確認され世界中で感染拡大する中、東京は大会の行方に翻弄された。

4月5日には都内の感染者数が累計1千人を超え、4月7日、安倍首相は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく史上初の緊急事態宣言を7都府県に発令、期間を5月6日までとした。休業を要請する対象施設は国と都の間で調整が難航、10日の公表となり混乱を招いた。混乱は様々に及び、3月2日から始まった全国一斉休業の対象外となった保育所や放課後児童クラブ(学童保育)は、登園自粛等でしのいできたものの感染予防、保育士不足は限界と悲鳴をあげていた。知事は「保育等提供の縮小要請」を発したが、現場も保護者も困惑は続いた。

 

補正予算過去最大:総額4500億円規模——迅速かつ「命」を守る「生活」保障と医療現場への徹底支援を!

■臨時会補正予算 3574億円

東京都議会では4月17日から22日まで臨時会が招集。新型コロナウイルス感染症緊急対策3574億円が計上、21日の特別委員会で審査される。

▼そのうち中小企業制度融資等は1964億円。都の要請に応じて休業した事業者等への「感染拡大防止協力金」として支給額50万円(2店舗以上有する事業者100万円)の総額960億円。

▼医療提供体制等の強化129億円には、感染者患者(無症状、軽症)2千人を受入れるホテル等確保、医師・看護師等深夜に及ぶ勤務時の宿泊等のための宿泊支援などが含まれる。

■専決処分による主な緊急対策は

▼遡る4月7日に専決処分として発表された232億円には、民間検査機関等(20カ所程度)のPCR検査機器導入支援、患者受入れ病床確保、軽症者等のホテル確保千人分など。

▼緊急事態宣言直後の緊急対策として、ネットカフェ難民、雇い止めや派遣切り、内定取消し等により生活も住まいも立ち行かない人への「失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供」(チャレンジネット事業)も盛り込まれた。13日現在150人以上が利用したが、4千人規模が予想されるため、拡充と困窮者を取りこぼさない相談体制強化を求めている。

チャレンジネットリーフのサムネイル

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TOKYOチャレンジネット https://www.tokyo-challenge.net/

新型コロナウイルス感染症が心配なとき、相談の流れ(東京都)
保健所・保健センター一覧(保健福祉局)

 

予期せぬ生活の現場の問題が様々に浮上している——弱い立場にある人を孤立させない! 居場所やシェルターの確保、 DV、虐待対策の拡充を急げ!

外出自粛、休業要請でしわ寄せを被る人への支援は不可欠だ。休校の長期化がやむない今、子どもの居場所や運動空間の確保、代替給食による健康の確保、子どもの学習権の保障も問われている。感染リスクを避けながら、子どもの育ちを地域全体で支えあう、そのための東京都の支援も重要だ。

長引く在宅生活によるストレスや将来への不安が引き金となるドメスティック・バイオレンス(DV:家庭内暴力)、児童虐待への対応、シェルターの提供、重症化リスクの高い高齢者の命を守る地域の医療体制整備などは急を要する課題である。

加えて、コロナ禍に見舞われている今、都民の相談等に対応する保健所の機能強化、職員体制の拡充も欠かせない。

また、今回新たな問題として移動自粛と感染予防の狭間で妊婦さんから、予定していた里帰り出産ができない、都内で安心して出産できないとの不安の声が寄せられ、検診体制や紹介状の充実要請、都立病院での受入れ等を求めた。

予期せぬ生活の現場の問題が様々に浮上している。東京都の緊急対策の補正予算は2月以降次々と計上され、今回と合わせると総額4500憶円規模と、過去最大となる。

 

国・都・自治体行政が総力を挙げて守るべきは、ウイルスとの戦いとともに、国民一人ひとりの「命」と持続可能な「生活」保障にある

感染の拡大が止まらない新型コロナウイルス。外出自粛が呼びかけられているが、感染者、重症患者の増加は抑えられるのか。医療崩壊の危機に直面する現場の実態が報じられている今、とくに医療現場への徹底支援とともに、医療従事者・医療関係者への心理的ケアも欠かせない局面を迎えている。

新型コロナウイルス感染症に対し、各国とも初動対応に遅れがあったなか、隣国の韓国では早期追跡、早期検査、早期治療をモットーに感染が疑われる人々に対して大規模な検査を実施、初動の遅れを取り戻すべく政策転換が図られている。対して日本政府や感染症の専門家は、PCR検査の精度への課題、検査拡大がむしろ集団感染を引き起こすリスク、患者増が医療崩壊を招きかねない等への危惧に留まっており、実態を国民が冷静に把握するための情報開示も遅々として定かでない。

こうしたなか、安倍首相は、新型コロナウイルスに対処する緊急事態宣言について事前報告した7 日の衆議院議院運営委員会で、憲法改正による「緊急事態条項」導入の議論開始を示唆したという。「国民主権」を行使するための最たるルール:国民投票法の真っ当な改正論議さえ棚上げにしてきて今この時期に、論点のすり替えも甚だしいではないか。今、国・都・自治体が総力を挙げて守るべきは、ウイルスとの戦い=生命保持=とともに、国民一人ひとりの「命」と持続可能な「生活」保障である。

2020年4月16日

東京・生活者ネットワーク

東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト

東京都緊急事態措置に関する情報サイト 

東京都が基本的に休止を要請する施設一覧

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症

環境省:新型コロナウイルスに関連した感染症対策

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