新たなシックスクール「香害」について——東京都・自治体・学校や保育所対応を問う

香りが長持ちする柔軟剤などでは、香料を入れたマイクロカプセルが使われています。さまざまな化学物質を合成させた香料そのものも問題ですが、それを包むマイクロカプセルについても問題があります。マイクロカプセルはプラスチック製品が多く、温度変化や接触などの刺激によりカプセルが割れて香料が放出されるしくみです。

 

近年、このような柔軟剤が多種販売され、これらを使う人が増えています。そこかしこに香りがあふれるなかで、香りを不快に感じる人や、身体が反応して頭痛やめまい、咳、吐き気、かゆみや湿疹などの症状を引き起こす人もまた増えており、日常生活に困難を抱えています。なかでも症状が出た子どもは、学校に行くと反応するため、不登校になる子どももいます。成長期にある子どもへの影響を防ぐことが重要です。

 

生活者ネットワークは、
「香害」への取組みについて、学校などに聞く実態調査を実施しています

 

昨年来、生活者ネットワークは「香害」問題を東京都議会・自治体議会で取り上げましたが、教育委員会・当該行政の認識は希薄と言わざるを得ない状況でした。

 

そこで、今年9月以降、生活者ネットワークは自治体の教育委員会や公立学校等を対象に、「香害」について聞く意識調査を実施するほか、議会質問でも課題指摘や提案をしてきました。その結果、ようやく「香害」の実態を認識し、給食着の洗濯について強い香りの着香製品の使用自粛を呼びかけている学校や、養護教諭を通して注意喚起を促した事例、自治体独自のパンフレットやホームページで「香害」への理解を求める動きなどが広がりつつありますが、依然少数にとどまっており、対策が急がれます。

 

生活者ネットワークでは、ネットの提案で小金井市議会、多摩市議会で実現した「着香製品の成分表示を求める意見書」提出活動を手掛かりに、各地で、自治体議会発!国への働きかけを強めています。

 

化学物質子どもガイドライン「室内空気編」で、香害対策を!
都議会生活者ネット文書質問で「香害」を問う

 

一方東京都に対しては、都議会生活者ネットワーク、山内れい子都議会議員が文書質問に載せるなど、さまざまな角度からこの問題を取り上げてきました。

 

  • 東京都は化学物質子どもガイドラインをつくり、室内空気編で学校や保育室などの化学物質を減らそうと取り組んできた。塗料や壁紙だけでなく、子どもが学校の教室等で健康被害を受ける「香害」も、新たなシックスクールと言える。症状を抱える子どもがどれくらいいるのか、調査する必要があると考えるが見解を問う。
  • また、原因物質が、香料そのものか、香料を包む成分か、解明されていないことも多いのが「香害」の現状だ。香料を包むマイクロカプセルは空気中に漂い、割れたときに毒性の強い青酸化合物やイソシアネートを発散すると言われる。割れてはじけたマイクロカプセルは、PM2.5程の微小さで、吸い込むと肺から吸収されることが分かっている。またイソシアネートは化学変化しやすいため、捕捉困難と言われてきたが、最近は簡易な測定もできるようになったと聞く。「香害」の原因究明のためにも学校等子ども施設の空気を測定することが必要ではないか。

 

これら生活者ネットの指摘・提案に対して、東京都の回答は、

  • 教室等における揮発性有機化合物の測定対象物質等については、文部科学省が告示した「学校環境衛生基準」に定められている。ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン及びスチレンであり、文部科学省が作成した「学校環境衛生管理マニュアル」に従って実施。衣類から発する香りについては、各学校において医学的見地の状況を踏まえ、校長、養護教諭、学校医等が必要に応じて個別に対応していると考える。
  • 香りによる健康上の問題については、今後も国などから示される医学的見地からの情報を収集するとともに、学校現場からの報告などを踏まえ、対応を研究していく。

というものでしたが、質問を契機に、東京都生活文化局の発信で、都のホームページに「子ども環境と香害」にかかる啓発記事(自分にはいい香り、隣りでは気分が悪くなる人も?! ~「柔軟剤のにおい」の苦情・相談が寄せられています~)が掲載されたことは、一歩前進と言えます。

191106 香害こどもチラシのサムネイル

世田谷・生活者ネットワークの働きかけによって実現した、世田谷区発行の香害啓発リーフレット

生活者ネットワークは、今後とも、子どもの生育環境の安心・安全を求め、国、東京都や自治体に働きかけと対話を求めていきます。「香害」問題について、みなさまのご意見をお待ちします。

シックハウス症候群・化学物質過敏症について啓発する練馬区健康部生活衛生課のページ