共謀罪法案の強行採決に強く抗議し、断固撤回を求める声明

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東京・生活者ネットワークは、共謀罪法案の強行採決に強く抗議し、断固撤回を求めます!

 

本日6月15日早朝、参議院本会議で、「共謀罪」(改正組織的犯罪処罰法案)が、強行採決で成立した。溯る5月19日、衆議院法務委員会における自民・公明・維新による審議を打ち切っての強行採決、さらに同月23日、衆議院本会議において強行採決したことに続く暴挙であり、審議未了であるにもかかわらず、自民・公明が参議院法務委員会採決を省略、究極の強行採決・中間報告に踏み切ったことに、東京・生活者ネットワークは、強く抗議するとともに、同法の断固撤回を求めるものである。

 

委員会採決の省略は、「委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる」「特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる」とする国会法第56条の3によるが、共謀罪法案の場合、審議を省略するような「緊急を要する」理由は一切見当たらない。そればかりか、その本会議でさえ時間切れを理由に3名の議員の投票を拒否するにいたっては、三権分立の頂点に存する立法の府である国会の厳格なルールをも放棄する愚挙といわざるを得ない。

 

政府は、一般市民は処罰の対象にならないかのように強弁しているが、同法案には一般市民を対象としないなどの除外条項はなく、国家権力が、「組織的犯罪集団」の「犯罪の計画」すなわち共謀と、「準備行為」があると判断しさえすれば、条文解釈上、誰でもが処罰対象となり得る規定となっているのである。であるから、「共謀」すなわち「意思」を処罰するものであり、憲法に保障されている内心の自由(個を守る根源的権利・人権の源=プライバシー)の侵害となることは明々である。

 

また、当局の捜査方法は、電話・ファックス・電子メール、会話などの盗聴・盗撮・潜入活動(スパイ活動)などにいたることや、しかも、対象とされる犯罪は277と広範にわたるのであるから、国家権力は、権力の不都合を糾弾する者として弾圧の対象に選んだ者について、極めて容易に、「共謀し、準備行為をした」として捜査・取締・処罰できるようになる。すなわち、共謀罪法は、恣意的な運用に歯止めがなく、一般市民もすべての市民活動団体も対象になり得る、危険極まる法律なのであり、監視社会の完成の始まりなのである。

 

そもそも、多くの当該研究者や識者らが指摘しているように、テロ防止関連条約はすでに締結しており、かつ、殺人や強盗、爆発物使用などの行為をその準備段階で処罰する法律はさまざまに整備されているのであるから、本法の必要性はなんら説得力は見出せない。

 

共謀罪法が一たん成立しても、しかし、私たちの人権・自由・参加と自治・デモクラシーの基盤は依然、私たちの憲法のもとにある。言論の自由、表現の自由、あらゆる理不尽な現実・理不尽な政策を意識し、抗い、行動する権利は保障されているのであり、それら権利を行使する主体は私たち一人ひとりなのである。

 

東京・生活者ネットワークは、分断統治を目論む国家権力の具備要件・共謀罪法案の強行採決に強く抗議し、断固撤回を求める意思をここに声明するものである。

2017年6月15日

東京・生活者ネットワーク

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