民意無視の「エネルギー基本計画」(政府案)は、撤回を!

民意無視の「エネルギー基本計画」(政府案)に異議!

2014年3月7

東京・生活者ネットワーク

 2月25日、政府は、原子力関係閣僚会議を開き、原子力発電を「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけるとともに、「安全と認められた原発の再稼働を進める」などを盛り込んだ、新たな「エネルギー基本計画」(政府案)を発表した。政府案は今後、与党内の協議を経て閣議決定をめざすとされている。

 東京・生活者ネットワークは、「エネルギー基本計画(政府原案)への意見」に対するパブコメの早期公開を求めていたが、以下の通り、パブコメの結果(95ページにまとめられている)と、それを踏まえたとする政府案が出されたものだ。

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今回示された「エネルギー基本計画」(政府案)は、昨年末(12月6日)公表された政府原案への「パブリック・コメントをへて修正されたもの」とされてはいるが、しかし、その内実は原案とほとんど変わらない。年をまたいで短期間に寄せられた1万8千件ものパブコメはいったいどこにいってしまったのか? 真剣に協議されたのか? パブコメが反映されたとは言い難いのものとなっている。

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◆冒頭に、かろうじて「原子力依存を可能な限り低減させていく」と書かれたものの、そのロードマップは示されず、「原発は即時ゼロに」「脱原発をめざすべき」「福島原発事故対応に集中すべき」といった多くのパブコメには、一切応えていない。「福島第一原発事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い」としながらも、そうした態度は微塵も見られない。

◆「重要なベースロード電源」については、「低廉で昼夜を問わず安定供給できる電源」「原発を放棄すれば発電コストが10%上昇する」などと説明されているが、しかし、そもそも原発は電力需要の変動に合わせて出力の調整が不可能な電源であるに過ぎない。かつ低廉な電源といった説明も、バックアップ電源の必要性、厖大なバックエンドコストなどを含めておらず、完全にごまかしである。民主党政権下の「革新的エネルギー・環境戦略」策定過程で行った、エネルギーコストを電源ごとに比較した議論(原子力エネルギーが最も高くつく)をも無視している。

◆「原子力規制委員会により、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」としているが、多くの専門家らが指摘するように、原子力規制委員会の規制基準が「世界で最も厳しい」などは、その前提からして事実誤認であり、住民の安全対策は漠としている。今なお続く福島第一原発事故の主たる原因は、政府、規制当局、事業者、学者、メディア・マスコミを含めた無責任態勢にあった(国会事故調査委員会)にもかかわらず、そのことへの反省は見当たらない(そもそも原子力規制委員会は、国政調査権のもとに設置された国会事故調への意見聴取すら行っていない)。

◆すでに破たんが明らかな核燃料サイクルについても、「再処理やプルサーマルなどを推進するとともに、中長期的な対応の柔軟性を持たせる」としており、核・原子力政策への基本的姿勢は、原発過酷事故を起こしてなお、従来となんら変わっていない。将来世代に問題を先送りし、問題を拡大、深刻化させることになる再処理・プルサーマルの推進など、とうてい看過できない。

◆2012年の「革新的エネルギー・環境戦略」のパブコメでは、8万9千件もの意見が集まり、締切り後は国家戦略室のウェブサイトに次々掲載された一方で、今回のパブコメはその意見募集期間も短く、結果のまとめもずさん(1件ごと、1通ごとのパブコメの重みを無視している)。重ねて、前政権時にパブコメほか討論型世論調査などを含めた国民的議論を行った結果である「革新的エネルギー・環境戦略」(2030年代までに原発ゼロをめざす)は放棄されていることからも事実上、民意を無視したものとなっている。

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主権者は市民です。東京・生活者ネットワークは、今回の民意無視の「エネルギー基本計画」(政府案)に強く異議を表明するとともに、2012年の国民的議論を受け、およそ8割を超える国民が希求した「原発ゼロ」「脱原発」政策をこそ政府・安倍政権は推進するよう強く求めます。

 ⇒東京・生活者ネットワーク 政府原案に対する意見書(2013/12/28)はこちら

⇒東京・生活者ネットワーク「意見」の細目(2013/12/28)はこちら

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