容器包装リサイクル法の改正を求める取り組み

 これまで容器包装リサイクル法への対応については、改正の必要性を主張してきましたが、その他プラスチックなどが対象となった昨年4月の完全施行でより問題があきらかになったと思われます。生活者ネットワークは、実際に当事者として苦しんでいる自治体から改正を求める意見書(下記参照)提出の取り組みを提案しました。
 なお、市民団体が容器包装リサイクル法の見直しを求める意見書の請願運動に取り組んでいる地域もあり、これらの運動と連携をとって、地域での議論を巻き起こし根本的な発生抑制に向けて制度改正を実現していきたいと考えます。

容器包装リサイクル法の改正を求める意見書(案)
ライフスタイルの変化は大量生産・大量流通・大量消費・大量廃棄の状況を生み出した。深刻化するごみ問題への対処として、一般廃棄物の容積比で約6割を占める容器包装の再商品化を図るため、1995年(平成7年)6月制定された「容器包装に係る分別収隼及び再商品化の促進に関する法律」(以下「容器包装リサイクル法」という)が、1997年(平成9年)4月にびんとペット容器を対象に一部施行され、今年2000年(平成12年)4月からは紙製及びプラスチック製容器包材等が対象品目に加わり完全施行となった。
容器包装リサイクル法は、処理・処分は専ら自治体の責任とされている廃棄物のうち、容器包装廃棄物の再生利用の責務を事業者に課すものである。しかし回収の責務は事業者でなく自治体が負うこととなっており、事業者は自治体が集めた容器包装廃棄物を、国の再商品化計画の範囲で再生利用(リサイクル)することが義務づけられているにすぎない。 自治体は、リサイクルコストの約7割を占める分別収集・保管の責務を課せられ、ごみ処理費の負担増に苦しんでいる。ことに2000年4月から対象となった「その他プラスチック」においては、分別収集基準適合物にするための圧縮・梱包などの中間処理施設や保管のためのストックヤードの設置ができず、分別収集に取り組めない自治体が多い。
 加えてこの法律の本来の目的である容器包装廃棄物の発生抑制が果たされているとはいいがたい。事業者のリサイクルコストの負担が軽いため、よりリサイクルの容易な素材への移行や、ワンウェイ容器よりリユース容器の選択を誘導するに至っていない。むしろリサイクルできることが理由になってますますペットなどのワンウェイ容器の利用が拡大している。包装材の生産や使用が見直されないままでは、排出抑制に結びつかないことは明らかである。
 2000年5月、循環型社会形成推進基本法が成立した。ここでは、廃棄物を抑制し、資源の循環的利用を行うことによって、環境への負荷ができる限り低減される社会を構築するという循環型社会形成の理念がうたわれている。循環型社会形成のため、製品の引取り、循環的な利用の実施、製品等に関する事前評価などの「拡大生産者責任」を踏まえた措置が事業者に求められている。容器包装リサイクル法においても、循環型社会形成基本法に則り、拡大生産者責任の理念を取り入れた改正が求められる。
 以上のことから、容器包装リサイクル法を見直し、以下の内容を盛り込んだ改正を行うよう求めるものである。
1 事業者自ら回収することを原則とし、自治体に回収を委託する場合は
  回収、保管の費用は事業者が負担する。
2 容器包装廃棄物の素材について表示し、分別しやすくする。
3 再商品化の義務量は生産量と同じとし、製品の価格にリサイクルコストを内在させる。
4 リユースを優先させるための措置を講ずる
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成12年 9月  日
内閥総理大臣・厚生大臣・通産大臣・環境庁長官 殿

東京都○○市(区)議会

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