八ッ場ダム審議に対する生活者ネット討論 その2

都市・環境委員会(12月11日)での新井美沙子の討論

治水については、1947年のカスリーン台風をもとに計画が立てられていますが、当時の大洪水は戦時中の森林乱伐がもたらしたものです。今では森林の成長とともに山の保水力は回復しており、当時のような大洪水が起こる可能性は少なく、16000m3/秒の河川改修と既設の6ダムで十分です。国の計画によると八ッ場ダムはたった600m3/秒の機能しか持たず、他にも新たなメニューが必要としており、八ッ場ダムを建設しても解決するものではありません。
更に八ッ場ダムはそれ自体に大きな問題点を抱えたダムです。吾妻川の上流には草津温泉、万座温泉、硫黄鉱山跡地、白根山などがあり、砒素などの重金属や窒素、リンなども計測される強酸性の河川です。中和のため品木ダムを建設し、年間十数億の維持管理費をかけて、日量60tの石灰の投入、浚渫と埋め立てを行っていますが、品木ダムの堆砂率はすでに80%になっています。これらの堆積物が八ッ場ダムに流入することも考えられ、ダムの寿命が早まる可能性も非常に高いといえます。
またこの地域は浅間山の噴火時に積もった岩屑なだれ堆積層が厚く、地すべりが起こりやすい地質です。水を含むと更に流動性が増すとされ、現地再建型で造成される代替地も危険地域になっており、万が一の場合には大変危険です。
以上のように、八ッ場ダムは、その目的である利水・治水上も必要のないダムであり、ダム自身もあまりに多くの問題をかかえており、この議案について反対いたします。
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